

これらの世話も仕事のうちで、餌やり、掃除、水換えと、どっちがメインなのかわからないほど手がかかる。あげた生き餌が展示生物より目立ってしまい、「コオロギの展示かな」と思う人もいるかもしれない。
展示生物の種類によって餌のバリエーションも変わってくるので、当然園館によって取り扱う餌も異なる。冷蔵庫の中身を見ただけでどの水族館かわかるようなプロもいそうだ。
ただ近年は入手が困難になってきた餌もある。イワシやサンマは定番の餌であったが、ご存じのように価格が上がってきている。今後、展示生物たちが食べられる餌も変わってくるだろう。
運良く給餌の時間に立ち会えたら、どんな餌をやっているのかにもぜひ注目してほしい。

なんかの菌(なんかのきん)
神戸大学大学院にて美術史学を専攻。水族館の採用試験で物好きな館長に採用され、海水魚の飼育員を経て社会教育を担当する。現在は生きものを中心としたイラスト制作などを請け負っている。著書に『水族館飼育員のキッカイな日常』(さくら舎)がある。