きょうの調餌(ちょうじ)
みなさんはアジの三枚おろしやイカの下処理ができるだろうか?
もしできなくても、ひとたび飼育員になれば毎日魚を捌(さば)くことになる。水族館には餌の鮮度にうるさい生きものたちがいる。
たとえばラッコは大食漢(たいしょくかん)でありながら餌が少しでも気に入らないと口にしない。なので水族館で使う餌は、場合によっては飼育員が食べるよりもいいものを使っているのだ(なお、飼育員が自らの食事のことを餌と呼ぶこともある)。

具体的には、冷凍のイカやサケ、アジなどの魚、釣りでも使うアミエビなどを使用する。アサリは生きたまま届けられる。また果物や野菜も使う。餌をつくる(調餌する)部屋のことを調餌室といい、そこにある巨大な冷凍庫や冷蔵庫に餌が保管されている。
調餌は半解凍の状態がベストだ。解凍されていないカッチカチのイカやサケを捌くのにかなり力が必要である。
包丁は良いものを使わないとストレスが溜(た)まるという。丸魚(まるざかな)を餌とする場合は、金属探知機を使って釣り針などの異物が紛れていないか逐一確認している。
まさしく愛情がこめられた餌が、今日も生きものたちに与えられているのだ。
飼育のための餌の飼育
取り扱う餌は冷凍・冷蔵のものだけではない。
カエルやトカゲなどを飼っている方ならおわかりと思うが、生き餌が好き、冷凍ではダメだというグルメなやつがいる。彼らのために水族館では餌となる生きものも飼育している。
金魚、エビ、アルテミア(プランクトン)、コオロギ、デュビア(ゴキブリ)などである。