ルーティンを繰り返していく

しかし、子どもには、そうした力はまだついていないことが大半です。「朝起きてから出掛けるまでに、どんな順番で、何をしなくてはならないのか」が、頭の中に入っていないことも多いのです。

ですから、やらなければならないことのルーティンを流れ作業のように繰り返し、またアラームを鳴らすことで、「この時間までに、これをしておかなくてはいけない」ということをわかりやすく知らせるようにしていました。

やらなくてはならないことがたくさんあると、子どもはイヤになってしまいますし、「これの次にはこれをする」という順番も、すぐに忘れてしまいます。朝ごはんを食べながら、ほかのことに興味が向いてしまって、次にやることがわからなくなることもしょっちゅうです。でもアラームが鳴ると、「あっ!この時間までに朝ごはんを食べ終わらなくちゃいけないんだった!」と気付きやすくなります。

内田さんの息子たちの変化

アラームがないと、「もう出発する5分前じゃない。早くご飯を食べ終わりなさい!」「出掛ける時間になったのに、まだ歯磨きも終わっていないの?急ぎなさい!」と、親が強く言わなくてはならなくなります。私も、朝からイライラして大声を出したくはないですし、言われる子どもの方もイヤな気分になるでしょう。

上の息子2人は、アラームで習慣付けたおかげで、今ではアラームが鳴らなくても次の行動に移れるようになっています。

アラームを使う以外にも、例えば朝起きてからやらなくてはならないことを「きがえる」「あさごはんをたべる」「かおをあらう」「はみがきをする」など、板状のマグネットに書いて(イラストでもいいでしょう)、やる順番にホワイトボードに貼っておき、終わったものから子どもが自分で裏返していくという方法もあります。

「次に何をしなくてはいけないのか」「どこまで終わったか」が、視覚的にわかりやすいので、途中で気が逸れて、何をしなくてはいけないのかわからなくなることが多いお子さんには役立つかもしれません。「朝ごはんが終わってるなら、早くはみがきをしなさい!」「まだ顔も洗っていないじゃないの!」など、一つひとつ声掛けをするのが大変という場合には、考えてみてもいいと思います。

『小児精神科医で3児の母が伝える 子育てで悩んだ時に親が大切にしたいこと』(日経BP)

内田舞
小児精神科医、ハーバード大学医学部准教授、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長、3児の母。日本の医学部在学中に、米国医師国家試験に合格・研修医として採用され、日本の医学部卒業者として史上最年少の米国臨床医となった。

内田舞
内田舞

小児精神科医、ハーバード大学医学部准教授、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長、3 児の母。2007 年北海道大学医学部卒、2011 年イェール大学精神科研修修了、2013 年ハーバード大学・マサチューセッツ総合病院小児精神科研修修了。日本の医学部在学中に、米国医師国家試験に合格・研修医として採用され、日本の医学部卒業者として史上最年少の米国臨床医となった。