パワハラ、セクハラ、マタハラ、そしてハラハラなど、今の世の中に多くの「ハラスメント」が存在している。
こうしたハラスメントに関する相談を受けてきた、社会保険労務士の村井真子さんは、「それらは人間関係から生じるもの」だとする。
人間がひとりいれば常にそのリスクはある。だからこそ、対処法や回避策を理解しておくことが大切になる。
著書『職場問題ハラスメントのトリセツ』(アルク)から、ハラスメント加害をしやすい人の類型とその類型から一つの事例を、一部抜粋・再編集して紹介する。
ハラスメント加害をしやすい人の類型
職場のハラスメントについて、相談や当事者のヒアリングをしていると、加害者側の立場に立つ人にはいくつか定まったパターンがあるように思います。
ハラスメントに関する理解を深めるため、ここでは過去の事例や知見をもとに、加害行為に至る傾向をいくつかの類型として整理しています。
(1)自分を客観視する力が弱い人
(2)アンコンシャス・バイアスが強い人
(3)感情のコントロールが下手な人
(4)過去に自分が被害者となった経験がある人
(5)過去の経験にとらわれやすい人
(6)自己中心的な考え方をする人
(7)コミュニケーションに癖がある人
もちろん、こうした類型化には「特定の人物を決めつけてしまう」「レッテルを貼ってしまう」といったリスクも伴います。

同じような特徴を持つ人がすべてハラスメント行為を行うわけではありませんし、状況や背景によって意味合いも大きく変わってきます。
そのため、ここで示す内容は、あくまで理解の一助として捉えていただき、個人を断定的に評価するものではないことをご理解ください。
事例は実際の相談をもとにしたものですが、登場する会社名・個人名はすべて架空のものです。内容を損なわないように複数の事例を組み合わせ匿名化したものであることを申し添えます。
過去の経験にとらわれている人は
過去の経験に強くとらわれる人は、自分の成功体験や価値観を絶対視し、他者にも同じ基準を押し付けがちです。