26年前、名古屋市西区で高羽奈美子さん(当時32)が殺害された事件では、夫・悟さんの高校時代の同級生・安福久美子容疑者(69)が逮捕されました。悟さんは11月3日、東海テレビの「ニュースONE」に出演し、容疑者について、そして、奈美子さんと当時2歳だった長男への思いを語りました。

■率直な気持ちは「自分の関係者か…と」

Q.容疑者逮捕から3日が経ちました。率直に今の気持ちは

高羽悟さん:
「私も12時半ぐらいに『西署に来てくれ』と言われて、2時過ぎに着いたんですけど、そこで『今夜、逮捕します』と言われてびっくりしたんですけど。その後に、容疑者が私の関係者と言われた時にちょっとびっくりしまして。捕まったのはいいんですけど、自分の関係者か…と思って、奈美子に悪いことしたなと思いました」

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Q.26年は長かったですか?

高羽悟さん:
「そうですね。節目節目には時効撤廃の問題があったり、色々ありましたので、そういう時効撤廃のための活動だとか色々な動きができたので。今思うと、26年の割には途中途中でやることがあったので、あまり長く感じてなかったのかなと思いますけど」

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Q.逮捕された安福久美子容疑者は、悟さんの高校の同級生でした。同じ部活に所属し、事件のおよそ半年前にOB会で再会をして言葉を交わされたということでした。想像されていましたか?

高羽悟さん:
「(OB会から)5カ月後に事件が起こっているので、その時に何かきっかけがあったんじゃないかと警察関係者は疑っていると思うんですけど。ただ、私が会った時には『もう結婚して、仕事もやりながら家事もやって頑張っている』というようなことを言っていましたので。高校時代の印象から、すごく明るくなったなと思ったものですから、私は『吹っ切れてちゃんとやっているんだ』と思ったんですね。だから『頑張って』みたいな、それぐらいしかしゃべっていないです」

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Q.高校時代の印象は

高羽悟さん:
「高校時代はすごくおとなしい、自分から話しかけて、自分のことを頑張っているなんて言うタイプではなかったので」

Q.高校時代にバレンタインにチョコをもらったり、ラブレターや告白もされたと

高羽悟さん:
「その頃の印象とは全く違って」

Q.大学に安福容疑者が来たというエピソードも

高羽悟さん:
「自分はあんまり覚えていなかったんですが、きのう法要の後に二次会で食事会をやったんですけど、そこで妹が『お兄さんが大学時代、彼女(安福容疑者)が大学まで追っかけて、その後、喫茶店に連れて行って、泣かれてえらいことだった』ということを妹にぐちったみたいな。妹の方が覚えていまして。妹からきのう言われて『そういえばそういうこともあったな』と思い出したぐらいで、私は本当に忘れていましたね」

Q.安福容疑者への思いは

高羽悟さん:
「ずっと透明人間みたいだったものですから、それが体は分かったけど、顔は何も、真っ白というか…。今の彼女の雰囲気だとか、顔は見たことがないものですから」

■息子・航平さんへの思い「何とかぐれずに立派に…」

事件が解決した背景には、時効の撤廃があります。殺人罪の時効は、2004年の法改正で15年から25年に延長されていましたが、高羽さんは被害者遺族の会「宙の会」の代表として、時効の撤廃を求め、2010年に撤廃が決まっています。

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Q.発生から26年、もし撤廃されていなければ時効を迎えていたかもしれない

高羽悟さん:
「あの時は、参加していた遺族はみんな、時効の壁を感じていましたので。今は科学的な捜査ができる時代なので、15年とか25年は短いのではないかということは一致していましたから、ぜひ時効は撤廃したいと」

Q.当時2歳だった息子・航平さんへの思いは

高羽悟さん:
「男の子だったので、めそめそしている場合じゃないということがありました。奈美子のためにやれることを2人でやってきた。何とかぐれずに立派になったので、良かったなと思います」

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Q.今とは時代が違う。仕事をしながら育児・家事を父親1人でやることは並大抵のことではなかったのでは

高羽悟さん:
「皆さんそうおっしゃっていただくんですが、現実には私の両親と同居していたので、昼間は世話をしてもらったり、私が火・水休みの会社でしたので、土日は近所に住んでいた妹、および姪っ子たちが交代で面倒を見てくれたりして。私が1人でやったというようなことはなくて、みんな全員でチームワーク良くやった」

Q.航平さんが何歳ぐらいの時に母親のことを伝えた

高羽悟さん:
「伝えることはなくて、こういう取材自体にいつも連れていましたので、それは少しずつ分かっていったということで、一緒にやっていましたので」

Q.航平さんは去年結婚されて、相手は奈美子さんの友人の娘だった

高羽悟さん:
「たまたま高校1年のクラスで仲良くなって、まず娘さんの方がうちの息子の名前を出して『仲良いんだ』と言った時に、お母さんが『私の友達の息子さんだ』ということで『お母さんは殺されて亡くなっているんだよ』というような話になったみたいで、そこでびっくりしたということですね」

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Q.容疑者逮捕で一つ区切りは迎えましたが、ずっと借り続けているアパートはどうする

高羽悟さん:
「一区切りはつきましたけど、まだまだDNAを使って科学捜査をしたいということで、遺伝子情報の法制化に向けて動かないといけませんので。『宙の会』としては、あの現場がその象徴なものですから、逆に言うと、遺伝子情報が法制化されて当たり前に使えるようになったら、片付けようかなという感じです」

高羽悟さん:
「私たちが感じるのは、刑事さんの能力、マンパワーで解決する事件と解決しない事件があってはならないと思うんです。それを補完するには、やっぱり科学的な裏付け。今回も私は似顔絵は似ていないと思いますので、あれが遺伝子情報からもっと正確なモンタージュが作れたら、もっと事件は早かった。また、私自身がもう少し気が付いたかもしれないので」

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Q.つらい裁判になる

高羽悟さん:
「『素直に早く裁判を終わらせるのが、遺族への誠意だよ』ということは言いたいです」

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Q.奈美子さんに伝えるとしたらどんな思い

高羽悟さん:
「まだ犯人の実態が分からないので、今のところ報告はできていない、報告できる日が早く来たらいいなと思っています」

東海テレビ
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