10月19日に行われた伊東市議会議員選挙で当選した20人の中で唯一、田久保眞紀 前市長を支持していた新人の片桐基至 議員に経歴詐称疑惑が浮上した。また、河島紀美恵 議員も過去に経歴を偽った疑いが出ている。

訓練で”脱落”もパイロット?

10月の伊東市議選で1351票を獲得し初当選した片桐基至 議員は告示前から田久保眞紀 前市長を支持すると表明し、田久保前市長に対して二度目の不信任案が提出された際は反対討論を行なった上で全議員の中で唯一反対票を投じた。

高校卒業後、航空自衛隊に13年間在籍していた片桐議員は、選挙戦に向けて作成したリーフレットやホームページで、自身の経歴について「航空機整備員、パイロット及び防空システム管理者に従事」などと記していたが、「疑念を抱く方がいる」として11月4日にSNSを更新。

片桐議員の略歴(同氏のホームページより)
片桐議員の略歴(同氏のホームページより)
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この中で、片桐議員は「詳しく経験を書くのであれば、基本操縦(T-4)後期課程の途中(飛行時間200時間超)でコースアウトとなりました。ウイングマークは取得していません」と明らかにした上で「伊東市民への対面においては、ウイングマークを取得していない事は日頃より伝えております」と釈明している。

片桐議員のリーフレット
片桐議員のリーフレット

ただ、航空自衛隊によるとすべての基本操縦過程を通過し、ウイングマークを取得した隊員ついて「パイロット」と呼び、コースアウトとは技量不足などを理由に罷免されたことを意味するという。

このため、「コースアウトし、ウイングマークを取得できなかった人が『パイロットに従事した』と言えるのか?」という質問に対しては「パイロットになれなかった人」との認識を示している。

片桐議員の釈明(同氏のSNSより)
片桐議員の釈明(同氏のSNSより)

一方、片桐議員はSNSであわせて「選挙時に問題があるものか法律家に確認したところ、飛行していたのは事実であるので問題ないとのことでした」とも記していて、航空自衛隊の見解を受けて取材を申し込んだところ「私としては、パンフレット(リーフレット)は主な職歴というか、業務内容のような形でやっていて、パイロットになったと言うつもりはなかった。以前の選挙などは(航空)学生という感じで書いていたので、地元の人にもウイングマークを取得していないというのは言っていて、みんなそういう認識だった。やっていた仕事として整備員とパイロット、システム管理という感じで表記していたので、肩書きとしてパイロットと言うつもりはなかった。自分でも元空自パイロットという肩書は今までも使ったことがない」と述べた。

片桐議員をめぐっては、田久保前市長も市議選の前に自身のSNSで「元航空自衛隊のパイロットで空を飛びながら『真に日本を守るためには政治を変える必要がある』と決意して政治家を志した」と紹介していた。

河島議員の過去の経歴表記にも疑念が…

他方、河島紀美恵 議員は2023年の市議選に向けた選挙公報で、所有資格として「行政書士」と載せていましたが、日本行政書士会連合会のホームページで検索しても該当する会員の登録はない。

2023年市議選時の選挙公報
2023年市議選時の選挙公報

こうした中、10月に行われた市議選に際しての選挙公報では資格の記載はなく、リーフレットには試験合格歴として「1992年 行政書士試験合格」と書かれていて、河島議員は「資格という形で行政書士と書いていたが紛らわしいという指摘があった。そのような形だと行政書士を名乗っているように見えると言われたので、試験合格という形にした。実際に試験は合格している。(虚偽事項の公表で)違反になるという話もあったが、選挙違反には値しないのではないかという見解を弁護士とも話をしている。表記の仕方が問題になったということで大変反省している」と釈明している。

2025年市議選時の選挙公報
2025年市議選時の選挙公報

片桐議員と河島議員はいずれも公職選挙法(虚偽事項公表罪)違反の疑いで刑事告発されていて、河島議員はすでに警察の事情聴取に対して同様の説明をしているという。

テレビ静岡
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