「なぜ、私ばかりが被害にあうのか?」

ハラスメントの被害を受けたら、誰もがそう思ったり悩んだりするだろう。

社会保険労務士としてハラスメントの対応にあたってきた村井真子さんは、ハラスメントをすること自体いけない行為だが、「被害を受けやすい」特徴を持つ人もなかにはいると分析する。

著書『職場問題ハラスメントのトリセツ』(アルク)から、一部抜粋・再編集して紹介する。

ハラスメント加害にあいやすい人の特徴

社労士として多くのハラスメント事例に対応していると、被害者へのヒアリングでよく耳にする言葉があります。それは次のような疑問です。

「なぜ、いつも私ばかりが被害にあうのでしょうか?」

もちろん加害行為そのものが最大の問題です。しかしながら、背景には「被害を受けやすい」特徴を持つ人が一定数存在する現実があります。

例えば、自己主張が苦手で「嫌だ」と言いづらい人、職場でのコミュニケーションが不得手な人、特定の権力者と距離が近すぎて孤立しやすい人など、いくつかの特徴が見られるのです。

ハラスメント被害を受けやすい人には特徴もある(画像:イメージ)
ハラスメント被害を受けやすい人には特徴もある(画像:イメージ)
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被害にあいやすい状況や言動を知ることで、自分がどのような状況に陥りやすいかを客観的に把握し、リスクを下げるための行動を取りやすくなります。

実際に相談では「自分がいつの間にかねらわれやすい立場にいた」と気づくだけでも早めに問題を察知し、防ぐ一歩を取れるケースを何度も目の当たりにしてきました。

繰り返しますが、ハラスメント加害を行うことは許されることではありません。しかし、ハラスメントは人間関係において生じる問題であり、その一方だけに原因を帰することも適切ではないと感じます。

加害行為者を責めるだけでなく、被害が生じやすい環境や個人の弱点を理解し、深刻な状況に発展する前にそこから脱することが身を守る最善策です。