2024年も記録的な凶作に見舞われ、2年連続の被害は国内の梅業界にとって存亡の危機ともいえるという。国内の梅が足りなくなると、原材料の調達先が海外へとシフトする可能性もあり、一度国内需要が失われてしまうと回復が困難になるそうだ。

ひょうの被害を受けた梅
ひょうの被害を受けた梅

そこでひょう被害で傷ついた梅の有効活用など行うためと未来の梅農家を担う若者たちが農業を続けられるように「クラウドファンディング」を実施。

「傷のある梅を出荷すると、価格が半分ほどになり、梅農家の収入も半分になってしまいます。ひょうが降ることはしかたないですが、今の課題は販路が梅干しに限定されていることです。

梅チューブや梅酒、調味料は梅に傷があっても最終的な商品の品質は変わりません。クラファンで加工した梅商品の認知度が高まると、産地としての出口が増える。それが実施しているひとつの理由です」

うめひかりは、梅酢や梅チューブなど、梅干し以外の製品も手掛ける
うめひかりは、梅酢や梅チューブなど、梅干し以外の製品も手掛ける

そしてもう一つは、新規就農の梅農家への支援だ。

「2年連続の被害のため、2年以内に新規就農した方は特に大変な状況です。そこで、リターン品のぶんだけ、2年以内に新規就農した方を優先に、傷梅を2倍の価格で買い取ることを決めました。これは自分の会社以外の梅農家にも広げてやっています」

それは、梅農家が減少する中で新規就農者は「これから一緒に産地を作っていく仲間」だからでもある。

山本さんは梅農家のノウハウを含めた継承に加えて、1次産業に携わる人たち、これから携わりたいと思う人たちが安定した収入を得られ、やりがいを持てる環境を作りたいという思いを抱いている。