私たちがほとんど毎日食べているお米。けれど、生活の中に当たり前にあるものだからこそ、実は知らないことも多いもの。おいしい炊き方や上手な保存方法など、知っているようで知らない話を、お米に魅了されて新聞記者から米農家に転身し、現在は「お米ライター」として活躍する柏木智帆さんが綴る。
文・写真=柏木智帆
玄米の炊き方の流儀は、白米以上に人それぞれのこだわりがあるように感じます。
私は気分に合わせて炊き方を変えていますが、今回は私が最も好みの炊きあがりになる方法をご紹介します。
玄米は常温で吸水を
まずは、計量した玄米をさっと洗います。白米は精米時にお米の表面に付着した「肌ぬか」を落とす必要がありますが、玄米の場合はその手間はいりません。玄米を入れたざるを水に張ったボウルにつけ、浮いてくる玄米を沈めるようにさっと混ぜるだけでOKです。
玄米を洗うときに、ざるに入れてガリガリと洗って傷をつけることで吸水させようとする方法もあるようですが、お米が割れてしまうリスクがあるのでおすすめできません。玄米に傷をつけて吸水を促進させたい場合は、精米機で1分搗きにすると良いでしょう。
洗い終わったらざるにあげ、38〜39度くらいの湯を注いでふたをして、常温で吸水します。数時間経つと、水温が下がるだけでなく、玄米からポコポコと気泡が出て、特有のにおいが出てきますので、新しい湯に替えます。そして、また数時間経ったら、新しい湯に替えます。
おおむね12時間以上経つと、玄米の胚芽部分がわずかに盛り上がってきます(胚芽が動く時間はお米によります)。この状態になったら、湯を捨て、今度は冷水で玄米を軽くすすぎ洗いし、ざるで水をきったらボウルや釜にのせて冷たい炊飯水を注ぎます。
分量は、お米1合につき水240グラムを目安に。たとえば、2合(300グラム)のお米を炊飯するならば、水は480グラムですから、ボウルや釜に吸水済みのお米をのせたら、お米300グラム+水480グラムで、計780グラムの表示になるように水を注いでいきます。あくまで目安ですので、お好みで調整してみてください。
ガス炊飯の場合、8〜10分ほどで沸騰するように中強火〜強火にかけ、沸騰したら25分弱火にして、消火したら15分蒸らします。炊飯器の場合は、しっかり吸水させて胚芽を動かした玄米を白米モードで炊飯するのが好みです。
ちなみに、圧力鍋で炊飯するとどんなお米ももちもちになってしまいがちなので、個人的には品種やお米のポテンシャルを味わうためには圧力鍋以外の炊飯が良いと思っています。
