このほか、次の3エリアも近づくのは危険だ。
堰堤(えんてい:川を横断するように作られた、小さなダム):堰堤の下流側には、上流側に反転する強い流れができることがある。足を滑らせ転落すると脱出できない恐れも。
傾斜したコンクリートの護岸:水際は滑りやすく、這い上がることが難しい。
橋脚などの人工構造物:周辺に複雑な強い流れが発生し、ゴミなどもあるので危険。

遠山さんによれば、川は海よりも近くにあって身近な存在。その分、子供が巻き込まれるケースが目立つという。
「近くに川がある地域は、子供たちだけで川遊びしないように注意喚起や啓発をする必要があります。事故が起きてからでは遅いです」
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海と川に共通する「事故が多い時間帯」
海や川に共通して、水難事故は14時(午後2時)前後の発生が多いそうだ。
「昼食後で注意力が散漫になりやすく、疲れが見え始めるタイミングでもあります。14時以降は帰宅するのも事故を防ぐ手段です」
さらに夕方近くに遭難してしまった場合は、その日の捜索や救助が難しいともいう。
「『まだ明るいから大丈夫』と思わず、早めに海から上がる判断を心がけましょう」
海や川では状態を確認した上で、少しでも危険を感じたら早めに切り上げる。そんな備えが、水難事故に遭わないためには大切だ。

遠山純司(とおやま・あつし)
海上保安大学校卒。水難事故の救助に長年あたり、内閣官房内閣参事官、海上保安庁総務部教育訓練管理官、第三管区海上保安本部(横浜)本部長などを歴任。2022年6月から現職。一級海技士(航海)、一級小型船舶操縦士。
取材・文=内山直弥