鹿児島県トカラ列島で続く群発地震。わずか3日間で250回を超える地震が発生し、島の子どもたちはヘルメットをかぶって登校する事態となっている。「6月22日の地震は怖かった」と話す子どもの声からは、島に暮らす人々の不安が伝わってくる。
3日間で250回超の地震、悪石島では最大震度4を観測
鹿児島県のトカラ列島近海を震源とする地震が頻発している。6月21日から23日午後5時までの間に、震度1以上の地震が合計253回も観測された。日別では21日が28回、22日が106回、23日が午後5時までに119回と増加している。
特に悪石島では、この期間中に震度4の揺れが3回発生。この地域では過去にも群発地震が起きており、2023年9月には346回、2021年12月には悪石島で震度5強を観測した地震が発生している。

子どもたちはヘルメット着用で登校、半数は睡眠不足
群発地震が始まって初めての平日となった23日、悪石島にある義務教育学校では子どもたちがヘルメットをかぶって登校した。
「朝からヘルメットをかぶって対策をとって登校している。授業中もヘルメットをかぶっている子もいるし、机の横に置いておいて備えているところです」と十島村立悪石島学園の当房芳朗校長は説明する。
当房校長によると、「夜も揺れがありますから。確認したら夜寝ていない子も半分くらいいた。ちょっと元気がない子も少しいた」とのこと。いつ来るかわからない揺れに、島の住民たちは緊張した日々を送っている。

モニターが示す「ひっきりなし」の揺れ
鹿児島市吉野町にある鹿児島大学の南西島孤地震火山観測所。県内各地の地震計の10分間の動きが一度に確認できるモニターがある。ここに表示された悪石島の波形は体に感じない小さな揺れを含めひっきりなしに動き、たびたび非常に大きく動いているのが一目瞭然だ。

専門家「予測が非常に難しい」離島ならではの注意点も
鹿児島大学の八木原寛准教授は「群発地震の難しいところは、どれが最大規模の地震で、それがいつ起こって、有感地震がいつまで続くのかという予測が非常に難しい」と説明する。
その上で離島特有の注意点として、「離島では(島の)周回道路など崖崩れしそうな場所がある。落石するような所は、(地震)活動がある程度収まるまでなるべく通らないことを心がけていただく」ようにアドバイスしている。

備えを万全に—家具固定や就寝時の注意点
気象台は当分の間、強い揺れを伴う地震に注意するよう呼びかけている。地震への備えとして、食器棚やテレビなど倒れやすい家具の固定が重要だ。突っ張り棒などの転倒防止グッズの活用も効果的である。
就寝時には、物が落ちてこないか、倒れてきそうなものがないかを確認することが大切だ。壁にかけている額縁なども注意が必要である。事前にできる対策を万全にして備えておきたい。

24日午前2時23分ごろの地震では悪石島で震度4を観測した。当房校長は「どんと揺れて揺れの時間も長いように感じた。なかなか眠れていない子どもたちもいる」と話していた。
予測の難しい群発地震。島の住民の安全と、特に子どもたちの心身の健康を守るための取り組みが続いている。
(鹿児島テレビ)