トカラ列島近海を震源とする地震発生から3週間以上が経過したが、いまだに収まる兆しは見えない。こうした中、悪石島に派遣された看護師が状況を報告。また鹿児島県と十島村、国がオンライン会議を行い、対応を協議した。
悪石島から帰任した災害支援ナースの報告
鹿児島県は十島村の要望を受け、鹿児島市の2つの病院から2人の看護師を7月8日から13日まで悪石島に派遣した。その1人で鹿児島市立病院から派遣された永尾香織さんが7月14日朝、帰着式にのぞみ、現地の状況を報告した。
永尾さんは「震度1から4の地震を私たちも体験しました。自分たちが感じた不安を毎日島民の方たちは感じていることを体感し、少しでも不安が収まるような状態になればと願っております」と語った。
永尾さんは現地の看護師をサポートしながら避難所にカフェを開き、島民や現地で働く人たちの憩いの場を設けた。島の人たちとの会話では「こちらから地震や災害の話をするのではなく家族の話など別の話をすることで、少し笑顔を引き出せるように声かけした」という。住民の不安を減らそうというすための配慮を感じさせた。


群発地震が始まって3週間以上経過 震度1以上の地震は計2000回超
トカラ列島近海を震源とする群発地震が始まって3週間以上が経過する中、14日朝も悪石島では震度4を観測する地震が発生、震度1以上の地震は午後5時までに32回発生し、この時点で合計2000回を超えた。

収束の兆しが見えない中、14日朝、十島村と県、国によるオンライン会議が開かれた。
十島村・久保源一郎村長は「終わりの見えない群発地震ですが、島民の不安や心配は積み重なり心労は高まるばかりでございます」と、地震に苦しむ島民の現状を訴えた。
国は十島村で畜産業を営む人が家畜を避難させる場合に、その費用の一部を補助することを決定、非公開で行われた会議で塩田知事は国にさらなる支援を求めたと話した。
会議後の会見で、十島村の久保村長は「鹿児島県知事、(防災担当)大臣の方から長期的なものへの支援を頂いている。住民の方にも負担のないような形を取っていけるのではないか」と今後の見通しについて語った。

「港の船が気になる」 一時帰島を決断する人も

14日時点で、十島村の悪石島と小宝島から65人が島外に避難している。悪石島から鹿児島市に避難している有川和則さんが取材に応じた。
報道陣の取材にたびたび協力してくれている有川さん。島で漁業と民宿を営んでいるが頻発する地震で体調を崩し、妻とともに村が用意した鹿児島市内のホテルに身を寄せている。体調は徐々に回復しているというが、有川さんは、16日にいったん島に帰ることを決めた。台風シーズンを前に、港に浮かべたままにしている船のことが気になっているためだ。いったん島に帰って船を引き上げ、また鹿児島市に戻ることを考えている。

有川さんによると経済的な負担もあるという。避難先のホテルでは朝食のみ提供され、昼食と夕食は自己負担。「夫婦の1食で2000円はかかる。それがかさんでかなりの金額になる」と話す。悪石島の民宿がどこもそうしているように、予約はすべて断ったと、切実な状況を明かしてくれた。

十島村では震度4以上の地震が5日間以上発生しなかった場合、帰島の意向を確認して戻る準備を進めるとしているが、震度4の揺れが観測されるたびに、帰島が先送りされる日が続いている。一日も早い地震の収束を願うばかりだ。
(鹿児島テレビ)