虫や金属片などが食品に混入していたというニュースをしばしば見かける。
私たちの口に入るものだけにインパクトが大きいが、実は異物混入は毎日のように起こっているという。食品の異物混入の原因を分析するための「異物検査」を行う食環境衛生研究所の浅沼開さんはこう話す。
「全体の統計まではわかりませんが、弊社にはほぼ毎日のように企業から検査の依頼が寄せられています。その状況から考えると、全国のどこかで毎日のように異物混入が発生していると考えられます」
では、主にどんなものが混入するのか。なぜ、食品の異物混入は起きるのか。もし異物を見つけたとき、どのように対処するべきなのか。
混入する「異物」で多いもの
食環境衛生研究所が検査を依頼された食品に混入する異物として、毎年多く見られるのは以下の5つだという。
・原材料の骨
・プラスチック片や、ビニールの切れ端
・食材加工中に発生したコゲ
・カビ
・虫(ゴキブリの幼虫、カメムシ、芋虫など)

「なかでも毎年1、2位を争うのはプラスチックやビニールの切れ端ですね」
そもそもなぜ、こうした異物が食品に混入してしまうのだろうか。浅沼さんによれば、主に以下のような原因が考えられるという。
骨やプラスチック片は調理中に混入
原材料の骨…調理中に混入。
プラスチック片やビニール片…調理中や製造過程で混入。工場で包装を開けた際に混入したり、手袋の切れ端が入ったりすることがある。
コゲ…調理中に混入。製造設備の状態が悪く、コゲが溜まっていたものがはがれて混入した可能性も。

「小骨やコゲ、プラスチック片・ビニール片は、ほとんどの場合は小さく、金属でもないため、X線検査機や金属探知機を通しても発見しにくいため、消費者の手に届いた段階で発見されてしまうことがあります」
ちなみに、異物検査でプラスチックやビニールの種類を特定することにより、どの製造ラインで混入したのかを推測できるようになる。
カビは製造時にはわからないことも
カビ…輸送や保管中に食品についていたカビが繁殖してしまい、異物として見つかる。包材の破れなどによって後からカビが入り込み、繁殖する。あるいは、製造設備の衛生状態が悪く、そこで繁殖していたカビの塊が混入する。
「保管中に繁殖した場合も、後からカビが入り込んだ場合も、製造直後にはまだカビが繁殖していないため、目視や機器を使って判別することはできません。また、製造設備に繁殖したカビが混入した場合に関しても、金属探知機では判定できませんし、X線検査機でも恐らく弾かれないと考えられます」
では、「虫」はどうだろうか。