今後は、税金はかからないか少なくて済むけれど社会保険料の負担が生じる可能性が高まっています。社会保険料は、課税所得ではなく、収入金額に直接保険料率をかけて計算するので税金よりも高くなります。引かれることで手取りが減るのは社会保険料の方が影響が大きいといえます。

106万円の壁が撤廃されれば社会保険料を払う必要が出てくる人も(画像はイメージ)
106万円の壁が撤廃されれば社会保険料を払う必要が出てくる人も(画像はイメージ)

現在は、年収が106万円以上(従業員数51人以上の企業に勤める人)または130万円以上で社会保険に入ることになっています。106万円の壁をなくし、週20時間以上働いているなどの条件を満たすと(学生を除く)社会保険に加入することになりそうです。

社保に加入するメリット

社会保険は、具体的には厚生年金と健康保険ですが、加入することでどんなメリットがあるのでしょうか。

厚生年金に加入すると、将来もらう公的年金を増やすことができます。一方、健康保険は自分で入っても、配偶者の被扶養者として入っても現役世代の場合、医療費の自己負担が3割であることに変わりありません。保険料を払うのがもったいない気がしてしまいますね。

社会保険料を払うことによって出産手当金等を受け取ることができる(画像はイメージ)
社会保険料を払うことによって出産手当金等を受け取ることができる(画像はイメージ)

ただし、これから子供を産む可能性がある人は、自分で健康保険に入ることで出産手当金(産前産後の産休中に給与の3分の2程度)をもらえます。また年齢にかかわらず病気やケガで仕事を休み給与がもらえないときには傷病手当金(給与の3分の2程度)を通算1年6カ月受け取ることができます。社会保険料を払うことで手取りが減りますが、このようなメリットもあります。

106万円の社会保険料の壁撤廃は数年以内に現実になりそうですから、そのことを前提に、年齢や家族構成、自分がどうありたいかをもとに、これからの働き方を考えるということになります。

坂本綾子
坂本綾子

雑誌の編集・記者として活動後、ファイナンシャルプランナーの資格を習得。2010年にファイナンシャルプランナー坂本綾子事務所を設立。著書には『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)『「投資をしたことがないけれど、このままで本当に大丈夫?」と思ったら読む絶対に損をしないお金の増やし方』(CCCメディアハウス)、『新NISAを活かす! はじめての投資』(高橋書店)など多数