岩手県北上市の住宅で81歳の女性がクマに襲われて死亡した事件が発生した。同地区では2025年6月以降、クマの住宅侵入が10件発生しており、市は県内初となるクマ被害防止目的の避難所を開設。県はクマの「出没注意報」を「警報」に引き上げ、警戒を強化している。

クマが住宅侵入で高齢女性が犠牲に

7月4日午前7時半過ぎ、北上市和賀町山口の住宅の居間で、一人暮らしの81歳の女性が血を流して倒れているのを訪問した息子が発見した。

女性は警察と消防により死亡が確認され、頭や体に引っかかれたり噛まれたりした痕があったことから、警察は家に侵入したクマに襲われたと断定した。

クマが人を襲った住宅に規制線が張られる
クマが人を襲った住宅に規制線が張られる
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警察によると、女性は2日朝に息子によって無事が確認されていたことから、それ以降にクマに襲われたとみられている。

岩手県内では2025年初めての人的被害による死亡事例となった。

相次ぐクマの出没に地域が警戒

北上市和賀町の山口地区では、6月3日以降、クマが住宅に侵入する事案が10件発生しており、すべて同一の個体とみられている。

近隣住民は、クマの目撃情報について「(以前)用足しして家に帰る途中で、こんな風にガニ股で歩いていた。大きかった、1m以上はある」と話している。

警察の分析によると、クマの出没場所は和賀川の南側に集中しており、クマは川沿いを移動しているとみられている。

住宅の裏手から約100メートルの場所にある和賀川
住宅の裏手から約100メートルの場所にある和賀川

クマが人を襲った住宅の裏手から約100メートル離れた場所に和賀川があり、クマはこの川から現れたと推測されている。

住民による自主対策

相次ぐクマの出没に不安を感じた住民の中には、自ら費用を負担して業者に河川敷の草刈りを依頼した人もいる。

ある住民は「あまり市とかばかり頼ってもいられないでしょうし。クマはやっぱり怖いです。この辺にいるの分かってるので」と話す。

初の避難所開設へ

一方、北上市は7月4日、クマの人身被害や相次ぐ出没を受け、県内では初となるクマの被害防止を目的とした避難所を市内3カ所に設置した。
同日午後4時時点では避難者はいなかったという。

市内3カ所に避難所を設置
市内3カ所に避難所を設置

現場周辺では市がクマへの警戒を住民に呼びかけ、猟友会が捕獲用の箱わなを設置した。

岩手県は4日、2025年4月に県全域に発表していたクマの「出没注意報」を「警報」に切り替え、県民により強い注意を呼びかけている。

猟友会が設置した捕獲用の箱わな
猟友会が設置した捕獲用の箱わな

警察と市は引き続き警戒を強化し、住民の安全確保に努めることにしている。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
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