6~8月にかけて注意したいのが「細菌」による食中毒だ。この時期は、お弁当や作り置きのご飯の管理には気を配りたいところ。

食品衛生のコンサルティングなどを行う食環境衛生研究所の高橋絹海さん(高ははしごだか)に、細菌による食中毒の特徴や、家庭でできる予防策について聞いた。

(発がん性も?意外と知らない「カビ毒」のリスクについてはこちらの記事へ)

蒸し暑い時期に増える菌の種類

11~2月と比較的寒い時期にはノロウイルスなどウイルスによる食中毒が増えるが、6~8月に増加傾向にある食中毒の原因は「細菌」だという。

「食中毒自体は年間を通して発生していますが、6~8月は高温多湿な時期となり、多くの細菌が増殖しやすい環境です」

生肉にはさまざまな菌が付着している(画像はイメージ)
生肉にはさまざまな菌が付着している(画像はイメージ)
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食中毒の原因と、引き起こす細菌は主に次の通りだ。

サルモネラ…主に食肉や卵が原因。
カンピロバクター…主に鶏肉が原因。
腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)…十分に加熱していない肉や生野菜が主な原因。
黄色ブドウ球菌…切り傷のある指などで触った食品が主な原因。
ウェルシュ菌…食肉を含むカレーやシチュー、煮物やスープを大量調理しそのまま放置したものが主な原因。
セレウス菌…チャーハンやパスタなどが主な原因。由来は主に穀類。

食中毒の一般的な症状は、嘔吐、下痢、発熱、血便だ。菌の種類によって危険度は異なり、特にO-157は、毒素が強く、重篤な症状が出ると恐れられている。

しかし、たとえ弱い毒素を持つ菌でも油断はできない。

パスタで食中毒になることもある(画像はイメージ)
パスタで食中毒になることもある(画像はイメージ)

「2008年には、欧州に住む青年が5日間放置したパスタを食べて亡くなったという事例が報告されています。原因菌は食肉製品や野菜、これらを材料としたスープ類、穀物類に見られるセレウス菌でした。セレウス菌自体は、それほど毒素が強い菌ではありませんが、細菌が大量に増殖する環境が作られていたことで、重篤な症状を引き起こしたと考えられています」

プロの正しい手の洗い方

食中毒の発症リスクを減らすためには、まずは手洗いが必須だが、高橋さんは洗い方にも気を配ってほしいと言う。