陸上を歩くの!?
最後の生態トリビアは、あまり見ることがない「陸上を歩くこともある」ということだ。
「ラッコも陸の上を歩きますよ。ただ胴が長いため、とっても歩くのが下手です。足の指にも特徴があります。人間の足の指と逆で、小指が長く親指が短い。泳ぐときには最適で、あお向けで泳ぐときには小指が長く、親指が短い方が泳ぎやすいのです」

普段は海面を浮いているラッコが、陸上を歩くのはまれなことで「嵐が来たときくらい。岩場に打ち付けられる可能性もあるので、危険を察知するのでしょう。ただ陸上で食べられるものもないので、すぐに海に戻ります」と今泉さん。
最後は、野生のラッコと日本の水族館を取り巻く今の環境を知っておこう。
現在、日本でラッコが見られるのは、三重県・鳥羽水族館のみ。メイとキラの2頭だけだ。どちらも女の子で、20歳近いという。
かつては日本の水族館で122頭のラッコが飼育されていたが、2025年1月に福岡県・マリンワールド海の中道で飼育されていたリロが天国へと旅立ち、鳥羽水族館のみとなった。
その背景にはなにがあったのか。