宮崎市の「大淀川学習館」で、地域の自然と命の尊さを伝え続けて18年。館内の生き物の管理から、ときには自ら大淀川に入り泥にまみれて行う採集まで、子どもたちに「命の尊さ」を伝えようと奔走するベテラン飼育員・日高謙次さんのひたむきな奮闘に密着した。
勤続18年のベテラン飼育員
宮崎市の中央部を流れる大淀川。そのほとりに立つ「大淀川学習館」は、1995年の開館以来、地域の自然や生態系を学べる場として30年以上にわたり親しまれている。

ここで生き物たちと向き合い続けて18年になるのが、ベテラン飼育員の日高謙次さんだ。

大淀川学習館飼育担当 日高謙次さん:
大淀川流域の生き物たちに特化した、身近に感じられるとてもいい施設だと思っています。
日高さんは出勤するとまず昆虫の飼育室に向かった。展示の準備をする。

まずは昆虫の体調チェックから。

次に昆虫を展示場に連れていき、展示していく。

霧吹きで水を浴びた虫は気持ちよさそうだ。

コンコンコンコン…水槽を小さくたたく日高さん。
すると、イモリたちが次々に集まってきた。日高さんは「イモリがおなかすいているかどうかを確認。自分が癖づけているので、こうすると餌だと思って寄ってくる。イモリは学習館で一番の長老で、私と一番長い付き合い。学習館の職員よりもイモリの方が長い付き合い」と話す。長年の積み重ねによって築かれた生き物との絆が感じられる。

また、館内にある大温室「チョウのへや」では、年間約6,000匹ものチョウが舞っている。その約9割が館内で誕生した個体だという。

子どもたちが間近で観察できるよう工夫されており、チョウがストロー状の口で蜜を吸う様子など、生命の不思議を目の当たりにできる環境が整えられている。
日高さんは、チョウを育てるのに欠かせないものがあるという。それは「花」だそうだ。
大淀川学習館飼育担当 日高謙次さん:
チョウが大人になると、花の蜜を主食としています。成虫になるときに花を咲かせないといけないというのが一番苦労しているところ。
飼育員の努力が花を咲かせ、小さな命をつないでいる。
自ら採集し伝える身近な自然の魅力
日高さんの仕事は館内にとどまらない。日高さんは網とバケツを手に、学習館のそばにある「大淀川 水辺の楽校」に向かった。企画展「身近な生き物展」展示するカニやエビを自ら採集するためだ。

小川に入り、ガサガサと音がする場所をガサガサと網を揺らして生き物を追い込む日高さん。泥にまみれながら獲物を探す。

「何も考えずに没頭できるこの時間が楽しい」と話す。

ガサガサと探し続ける日高さん。「狙っていた生き物が取れて十分な成果だ」と安堵の表情を浮かべる。
命の尊さを伝える企画展
9日後、企画展『身近な生き物展』が始まった。

企画展では学習館周辺で捕獲した17種類約60匹の生き物を展示、子供たちが目を輝かせる。

日高さんが捕まえたカニは人気者になっていた。

かえるを見つけて「かえるのうた」を歌う子ども。

とんぼの赤ちゃん「コシボソヤンマ(幼虫)」をみて、「ねんねしてるから、しーっ」と赤ちゃんを思いやる子ども。

大淀川学習館 日高謙次さん:
ほっとしています。足を止めて一個一個生き物たちを見てくれるというのは、間違っていなかったなと。生き物に興味があれば採集して育ててみると命の大切さわかる。

「そこが体験していただくというのが一番楽しい、うれしい瞬間」と話す。

飼育員の情熱が込められたこの企画展は、5月31日まで入場無料で公開されている。

館内には、幻想的なイモリの水槽や珍しいアルビノのウナギも常設展示されている。ぜひ足を運んでみてほしい。
(テレビ宮崎)