ゴールデンウィーク初日の朝、能美市のいしかわ動物園に向かう家族連れの列は、入口からすでに長く伸びていた。子どもたちはリュックを揺らし、親の手を引っ張りながら先を急ぐ。その目当ては、8カ月ぶりの一般公開となる、小さな人気者——フェネックのシエル君だ。
「総選挙4位」の実力者が、8カ月ぶりに帰ってきた

シエル君は、いしかわ動物園がおととし実施した「総選挙」で見事4位に輝いたフェネック。
愛らしい大きな耳と丸い瞳は多くのファンを獲得したが、去年9月から一般公開が中断されていた。

理由は引っ越し——新しい展示室の建設に伴う移動だった。
待ちわびたファンにとって、今月20日の新獣舎完成は待望の知らせだった。そしてゴールデンウィーク初日となったこの日、いよいよ一般公開が再開されたのだ。
「怖がりだけど、飼育員には甘えん坊」——新居に上がったシエル君の素顔

新しい展示室のガラスケース越しに、子どもたちがスマートフォンを構えて集まる。
飼育員の田尻汐音さんが、その中心でガイドを始めた。
「性格はちょっと怖がりなんですけども、飼育員さんにはとっても甘えん坊な一面もあるという感じになっております」

田尻さんが指さす先を見上げると、シエル君は新しい獣舎の2階にいた。
「この2階はですね、新しくこの獣舎ができるにあたって作らせてもらった場所になってます」
広くなった新居を、小さな前足で確かめるように動き回る姿に、来場者から自然と笑い声が漏れた。
「野生動物ならではの動きを見て、学んで」——飼育員が伝えたいこと

動物園を訪れていた女の子が手に何か持っていたので聞いてみると、迷わず「フェネック」と言う答えが返ってきた。「寄ってきてくれるから、かわいかったし、ふわふわだった。見れてよかったなって思う。」
ガラス越しに近づいてくるシエル君の動きに、子どもたちは目を丸くしていた。

飼育員の田尻さんは、来場者の歓声を受けながらも、大切な言葉を添えた。
「すごくかわいいといっても、身近にはいない動物、野生で暮らしている動物ですので、野生動物ならではの動きであったりとか、体のつくりであったりとかを見て学んだり楽しんだりしていただければいいかなと思ってます。」
愛でるだけでなく、知ること。その両方がそろって初めて、動物との時間は深みを持つ。田尻さんの言葉は、展示室に響く笑い声の中に静かに溶け込んでいた。
今年初めて、ゴールデンウィーク中の「ナイトズー」も開催

フェネックは夜行性のため、日中は眠っていることが多い動物だ。
しかし今年は初めて、ゴールデンウィーク中にナイトズーを開催。夜の暗がりの中で本来の活発な姿を見せるシエル君に、さらなる人気が集まりそうだ。

8カ月越しの再会を果たした来場者たちは、それぞれの「ふわふわ」の記憶を胸に、能美市の動物園をあとにしました。
(石川テレビ)