「部屋に入る前から内見は始まっています。例えば、入居者向けの張り紙。『静かにして』『たばこは捨てないで』『ごみ出しのルールを守りましょう』と書かれているということは、そういう住人がいるということです」

ごみ捨て場はマナーの意識が出やすい(画像はイメージ)
ごみ捨て場はマナーの意識が出やすい(画像はイメージ)

上野さんが注目すべき場所として挙げたのが、エントランス、廊下、ごみ捨て場などの「共用部分」。荒れていたり破損していたりすると、居住者のマナーに問題があると分かるという。

共用部分のチェックリスト(図解:さいとうひさし)
共用部分のチェックリスト(図解:さいとうひさし)

また、駐輪場に屋根がない物件は、自転車が雨に濡れてさびやすくなってしまう。空室を意味する「ガムテープが貼られたポスト」が多い物件は、不人気な物件かもしれないそうだ。

このほか、以下の点もチェックしておきたい。
・共用廊下、階段、エレベーターの明るさは十分か=薄暗いと転んだりすることも。
・共用廊下から室内の影が見えたりしないか=生活の様子が分かってしまう可能性も。

部屋で生活を“するふり”してみよう

共用部分を見た上で、いざ部屋に入ったらどうすればいいのか。住みやすい間取りかどうか確認したいなら、「家事や生活を“するふり”してみましょう」と上野さん。

「洗濯物を干す動作をしてみると、洗濯機からベランダまでの動線に無駄がないかが分かります。料理をするまねをすると、シンクの高さや収納の使い勝手などを体感できます」

ベランダでは外からの印象も想像して(画像はイメージ)
ベランダでは外からの印象も想像して(画像はイメージ)

ベランダに出ると、外からの見えやすさや侵入しやすさなど、防犯面を確認できるそう。

また、お湯は張れないが、浴槽に入ってみるのも大事だという。

「浴槽の広さを実感できるだけでなく、お風呂に入っている最中に宅配便が届いたシチュエーションなどをイメージできます。女性がいる家庭だと、玄関からお風呂や脱衣所が見える間取りは避けたいですよね」

屋内のチェックリスト(図解:さいとうひさし)
屋内のチェックリスト(図解:さいとうひさし)

このほか、以下は見落としがちなのでチェックして損はないそうだ。
・共用廊下や隣室の部屋から、音が聞こえてこないか=遮音性が低いかもしれない。
・日当たりはどうか、周囲に遮るような建物はないか=日当たりが良い方角でも暗くなりがち。
・収納スペースは十分か=以前は収納できていた所有物を、新居で持て余してしまうことも。
・家族のプライバシーが守られる部屋の数はあるか=プライベートな空間は大切。

設備の確認も忘れずに

忘れてはならないのが、内見は部屋の「設備」を確認するチャンスでもあるということ。

メジャーがあると便利(画像はイメージ)
メジャーがあると便利(画像はイメージ)

「コンセントの場所や数、エアコンやシャワートイレの状況などを確認すると、そこでの生活を想像しやすくなるでしょう。今使っている家具や家電のサイズをあらかじめ測っておき、メジャーを持っていくと、置く場所などもイメージできます」