猫に愛された貸本店が、宮崎市にあるのをご存じだろうか。お店の名前は「輝らら」。
開業した2001年から人々に親しまれてきたが、「営業を続けられているのは猫たちのおかげ」と話すのは、店主の吉谷千鶴子さんだ。
初代の看板猫・トムくんとの出会いから、今も続く、猫たちとの絆を聞いた。
ずぶぬれの少女が抱えていた子猫
始まりは2003年の秋。ひどい雨の夜、ずぶぬれの少女が「おばちゃん、相談がある」と輝ららを訪ねてきたことだった。

吉谷さんが話を聞くと、少女は学校帰りに、捨てられていた5匹の子猫を見つけ、飼い主になれそうな人を探した。しかし1匹だけ、どうしても受け入れ先が見つからなかったそう。
寒さでガタガタと震えていた少女を店に入れ、抱えていたバッグを開くと…。
「タオルにくるまれた状態で、ぐっすりと寝ている子猫がいました」

吉谷さんは「もらってくれる人を探そうね」と少女に声をかけ、子猫を店で預かった。しかし、しばらくしても受け入れ先は見つからず。
吉谷さんは子猫をふびんに思って引き取り、「トム」と名付けた。