進学、就職、結婚、出産など、ライフスタイルの変化を機に、引っ越したい人もいるはず。そこで気になるのがお金だ。

初期費用の相場や、ファミリー層がお得に物件を探すためのポイントを「プリンシプル住まい総研」所長の上野典行さんに聞いた。

目安は「家賃5カ月分+引っ越し代」

「賃貸物件に入居する際は、一般的に次のような費用が発生します。例えば、家賃5万円の物件を借りるとしたら、引っ越し代を除いて約25万円程度かかると考えられます」

【賃貸物件の入居費用(カッコ内は相場)】
・敷金(家賃1カ月分)
・礼金(家賃1カ月分)
・前家賃(家賃1カ月分)
・仲介手数料(家賃0.5~1カ月分)
・保証料(家賃0.5~1カ月分)
・火災保険料(2万円程度)
・引っ越し代

敷金と礼金に注目(画像はイメージ)
敷金と礼金に注目(画像はイメージ)
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上記を合計した「家賃5カ月分+引っ越し代」が、初期費用の相場。このうち、敷金と礼金を支払う理由は知っておいたほうがいいという。

敷金0円には“落とし穴”もある

上野さんによると、敷金は退去時、原状回復(汚れや破損を元の状態に戻すこと)が必要になったときに用いられる費用。つまり、部屋を汚したり設備を壊したりしていなければ、退去のタイミングで戻ってくる可能性がある。

敷金0円は退去時に注意(画像はイメージ)
敷金0円は退去時に注意(画像はイメージ)

敷金0円の物件もあるが、そこには“落とし穴”も。敷金を払っていない代わりに、退去時に高額の費用を請求されることもあるそうだ。

礼金は管理会社や大家にお礼として支払うもので、物件探しの閑散期(4月~8月、10月~12月)には、0円になることもあるという。

このほかは簡単に紹介したい。前家賃は入居する月の家賃。仲介手数料は内見や契約手続きを担当する会社に支払うもの。保証料は家賃滞納の立て替えをする会社に支払うもの。火災保険料は損害補償の保険に入るためのお金だ。

 「家賃の相場は地域によって異なります。家族で住むような2LDK~3LDKの物件でも、都心であれば20万~30万円はするでしょう。郊外だと10万円前後でしょうか 」

URで物件を探してみよう

「もっとお得に物件を探したい!」

そんなファミリー層に上野さんが勧めるのは「UR」(独立行政法人都市再生機構)の物件だ。礼金や仲介手数料がなく、条件を満たせば「子育て割」(家賃サポート)も受けられる。

契約の更新時にかかる「更新料」も不要なので、子育てのため、同じ環境に長く住み続けたい場合にもお勧めできる。

URの物件は子育て世帯だと、家賃のサポートを受けられることもある(画像はイメージ)
URの物件は子育て世帯だと、家賃のサポートを受けられることもある(画像はイメージ)

逆に後悔しがちな探し方は「夫と妻の勤務先の間」「中心街の近く」といった理由で選ぶこと。思いがけずに家賃が高くなり、通勤に苦労したりすることもあるという。

URはウェブサイトのほか、都内などに店舗があるので訪ねてみてもいいだろう。ただ、人気で空き物件があまり出ないともいう。