夏の甲子園・準々決勝で、春のセンバツ優勝校の横浜高校を破り、準決勝にコマを進めた県立岐阜商業高校。
『サン!シャイン』は、その強さの秘密を探るべく、横浜高校との試合でサヨナラヒットを打った4番・坂口路歩(ろあ)選手の自宅を訪れました。

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出迎えてくれたのは、いずれも県立岐阜商業OBで坂口選手の父・輝光さんと、春のセンバツに出場した祖父の清貴さん。

幼い頃はサッカー少年だった坂口選手が、野球にはまったキッカケについて教えてくれました。

坂口選手の父・輝光さん:
小学校1年生かな、たぶん。「お前、投げてみろ」みたいなことを言われて、3年生に対して投げたら、誰も打てなくて。(野球)やったことない息子の球が。そこからたぶん、(野球に)のめり込んでいったのかな、あいつ。

見せてくれたのは、坂口選手が小学4年生のときの写真。布団の中でバットを抱きしめて眠っています。この頃は毎日バットと一緒に寝ていたといいます。

坂口選手の父・輝光さん:
(試合中は)本当に普段通り。でも、これもね。高校3年生、4番任されてからじゃないかな。小学校の時なんかだってね、試合にならなかった。

坂口選手の祖父・清貴さん:
緊張してたね。中学校のシニアの監督、岐阜商に入ってからの監督なり、周りとかにある意味、鍛えられた部分はあるかもね。少々のことでは動じない。

野球を始めて11年、ついに夢の舞台に立った坂口選手。しかし、その心には“ある秘めた思い”を抱えていたといいます。

坂口選手の父・輝光さん:
息子がきのうかな。「大学行ってプロ野球目指すよりも、早く親父と仕事がしたい」って言ったので…本当にやめるんだなって。(高校での野球はこれで)最後。

未来へ歩み出す息子へ…父からのエール

高校卒業後は、プロ野球を目指すのではなく、父の会社を継ぐためアメリカに留学し、経営学を学びたい。そんな決意のもと挑んだ“最後の夏”。

8月21日に行われた準決勝の相手は、西東京代表の強豪、日大三高。
地元・岐阜では応援団が、甲子園のスタンドでは、父と祖父が見守ります。

1―1で迎えた5回裏、県立岐阜商業の攻撃。2アウト1、2塁のチャンスで、打席に立った坂口選手は、見事、ライトへ勝ち越しのタイムリーヒットを打ち、チームに流れを呼びこみます。

その後、2―2の延長タイブレークまで持ち込みますが、10回表、日大三高に勝ち越しを許しゲームセット。県立岐阜商業高校の“夏の夢”は、ここで途切れることとなりました。

これから、甲子園から次のステージへ歩み出す坂口選手。父親が語ったのは、息子への“エールの言葉”でした。

坂口選手の父・輝光さん:
言いたいのは…まあ、お前らすげーよと。もちろんそれは言うつもり。
だけど、お前らはすごい、で、お前もすごい、だけどあしたあさって、それよりもすごい自分であってほしい。
「やっぱあの瞬間が一番輝いていた」は、俺の中でいや。あの甲子園でさよならヒットを打った瞬間よりも輝いていてほしい、そういう生き方しろよっていうのは、言いたいね。
(「サン!シャイン」 2025年8月22日放送)