賃貸物件に住むと気になるのが、退去時にかかるお金。 高額を請求されたという話を聞き、不安を感じている人もいるのではないだろうか。
「高額になる人がいる一方、ほとんどかからない人もいます。住み方次第です」
そう話すのは「プリンシプル住まい総研」所長の上野典行さん。退去時にお金がかかる理由、支払い額が高くなる住み方の傾向を聞いた。
知っている?「原状回復」の定義
賃貸物件の契約が終わるとき、借主(入居者)には、部屋の汚れや破損を元に戻す「原状回復」という義務が発生する。退去時にお金を払うことがあるのは、このためだ。

では、入居者はどこまで負担すればいいのか。
「『住み始めた当時の状態に戻さなければ』と思う方が多いですが、国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』では、次のように定めています」
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること
「つまり、普通に生活していたら生じないような汚れや破損があった場合に、原状回復費用が発生するというわけです」

日常生活で起こり得る「通常損耗」、時間の経過で起きる「経年変化」は、貸主(管理会社や大家)が負担する。そうではない、故意・過失による汚れや破損は、入居者が負担する。このように考えるといいそうだ。
【通常損耗や経年変化の例】
・床などが日光で劣化した
・冷蔵庫を置いた裏の壁紙が焼けた
【故意・過失による汚れや破損の例】
・重い物を落として床をへこませた
・誤って壁紙を破いてしまった
契約での「賃貸借契約書」に注意
「ただし、特約というものがあります。賃貸借契約書に『通常損耗や経年変化に関しても、入居者が原状回復費用を負担します』という文言が書かれている場合は、入居者が支払うことになります。契約書にサインと押印した時点で、承諾したと見なされるのです」

この「賃貸借契約書」とは、入居時や契約更新時に取り交わす書類のこと。
不動産会社から物件の説明を受ける「重要事項説明」の際、不服な点があれば聞いたり、訂正を求めたりすることができるという。負担の範囲などは事前に確認しておこう。
どんな住み方をしていると、原状回復費用が高額になってしまうのだろう。