結婚や出産など、ライフスタイルの変化に伴って、家族で暮らせるマンションやアパートへの引っ越しを検討することもあるだろう。
しかし探すとなると、どこに注目して、何を優先すればいいかわからなくなるもの。
子育て世帯が賃貸物件を探すなら、どのように選ぶといいのか。「プリンシプル住まい総研」所長の上野典行さんに聞いた。ポイントは“少し違った視点”で考えることだ。
和室や1階の物件を選んでもいい
「条件というと『日当たり』や『築年数』などが挙げられますが、本当に必須でしょうか」
日当たりが良い、築年数は浅いに越したことはないが、住むと意外と気にならないことも多い。それよりも注目したいのは、子供や家族が生活しやすいかどうか。
「和室がある物件」や「1階の物件」は敬遠されがちだが、赤ちゃんや育ち盛りの子供がいるならお勧めできるそうだ。

「例えば、畳はクッション性があり、赤ちゃんがいる家庭からすると安心感があるでしょう。集合住宅では高層階が人気ですが、子供が駆け回る年齢になると、1階の方が周囲に(騒音などの)迷惑をかけにくいでしょう。ベビーカーなども出し入れしやすいといえます」

子供と過ごす日々を想像し、少し先の未来までイメージすることも大切だ。
「子供が小さいうちは『幼稚園が近い物件がいい』と思うものですが、成長して小学生になると、幼稚園からの声が響いて気になるかもしれません。幼稚園バスの停留所が近い物件で十分だった、なんてこともあります 」
階層は低いも高いも一長一短
上野さんの話に出てきた「階層」について、深掘りしてもらった。集合住宅の高さはそれぞれ違うが、低層階(3階以下)と高層階(6階以上)でメリット・デメリットがあるという。
「低層階は家賃が安いことが多いというメリットがあります。一方、外から覗かれやすい、侵入されやすい点はデメリットといえるでしょう。ただ、最近はシャッターなどを完備した防犯性の高い物件も増えています」

高層階は眺望がよく、外から覗かれにくいのがメリット。鉄筋コンクリート造(RC造)であれば遮音性も期待できる。その反面、人気があるので家賃が高くなりやすいという。
「高層階だとエレベーターが渋滞して、(地上まで)下りる時間がかかるという問題も起きやすいです。階段での上り下りも大変でしょう。(防犯面でも)高層階だから侵入されないというわけでもありません」
そして、住みやすさを決めるポイントは「設備」にもあるという。