彼は「ニンジャ」とあまり呼ばれたくなかったんですね。

そこで、私が「いやいや、私がニンジャだよ」と冗談めかして介入し、「投手コーチだから、ピッチングニンジャだ」と名乗るようにしたら、それが定着したのです。

家族にルーツがあることもあり、私は日本の文化に絶えず魅了されてきました。実は、妻パトリシアの大叔母は、著名な児童文学作家で翻訳家の石井桃子なんですよ。

日本を知ることができる書籍は愛読書の一つです。

竹鶴政孝にも感銘を受ける

例えば、私はスコッチウィスキーが好きなのですが、日本からスコットランドに渡り、ウイスキーの製造技術を学んだ最初の日本人として知られる竹鶴政孝の本を読んだときにも、とても感銘を受けました。

アメリカで活躍している日本の投手たちを見ていると、日本のウイスキーを製造した職人技に通じるものを感じます。

彼ら職人は科学ではなく、直感的に材料を組み合わせてテイスティングをしていました。彼らのような緻密さ、技術や物事に対する敬意が、日本の選手たちに根付いていると感じるのです。

ダルビッシュが多彩な球種を編み出す能力や、打者としての大谷翔平がバットを大切に扱う姿勢、日本の選手たちが道具やゲームすべてを尊重する姿勢は、アメリカにいる選手とは異なったメンタリティで、私はそれが大好きなのです。

アメリカでは時に物事が大雑把になりがちですが、日本の文化には「物事を完璧に行う」という精神が根付いています。規律や細部へのこだわりが非常に重視されていると感じられます。