北アルプスの前穂高岳で5月2日、登山者が滑落して2人が死亡、1人が重傷を負った。救助にあたった山小屋関係者は、当時の状況について「大きな音がしたので見上げたら凄いスピードで落ちてきた。最初は落石かと思った」などと話した。
500~600m滑落したか
2日午前9時過ぎ、「前穂高岳の奥明神沢で男性3人が滑落したとみられる」と岳沢小屋から警察に通報があった。
県警ヘリなどが救助したが、2人は心肺停止の状態で、大阪府豊中市の会社員の男性(54)と岐阜市の会社員の男性(52)が死亡。埼玉県朝霞市の会社員の男性(64)が肋骨を折る重傷を負った。
この記事の画像(4枚)現場は登山道が整備されていない上級者向けの「バリエーションルート」。 標高およそ2500メートルの急斜面で3人は500メートルから600メートル滑落したとみられている。
「凄いスピードで落ちてきた」
救助にあたった近くの山小屋「岳沢小屋」の坂本龍志支配人は「大きな音がしたので見上げたら凄いスピードで落ちて来た。最初は落石かと思った」と話す。
坂本さんによると、今年は雪解けが早く、岩が露出して登れる所が狭くなっていた上、日中解けた雪が凍って滑りやすかったという。
小屋でも「今年は特に気を付けて」とブログや直接の声掛けで登山者に注意を呼びかけていた。
雪解け早く危険な状態
警察や坂本さんによると、3人のうち、上から2番目で下りていた男性が滑落、数メートル下を登っていた埼玉県の男性が巻き込まれたとみられている。
一番上の場所を下っていた大阪府の男性はその直後に滑落したとみられている。
当時、天気は良く3人とも装備に問題はなかったとみられ、坂本さんは「危険な場所だということを認識した上で十分注意してほしい」と話した。
(長野放送)