巨人のOBでセ・パ両リーグ日本一を成し遂げた名監督の一人、広岡達朗さん。

4年ぶりにリーグ優勝をした“新生巨人”を辛口総括した著書『阿部巨人は本当に強いのか 日本球界への遺言』(朝日新聞出版)では、日本球界の未来を語り尽くしている。

その中で広岡さんは、引退後に自費留学した経験から、将来の監督候補が海外で経験を積むことの大切さを訴えている。一部抜粋・再編集して紹介する。

監督候補をメジャーに留学させろ

17年間で9度リーグ優勝した原巨人が終わったとき、巨人は原のもとでヘッド兼バッテリーコーチを務めた阿部慎之助を後任に指名した。強打の捕手出身で、明るい人柄はファンにも人気があって、巨人再建には悪くない人事だ。

このときの私の最大の関心は、阿部がどんなコーチ陣を編成するかだった。それこそが、巨人再建を占う最大の課題でありキーワードだったからだが、その前に、監督は誰がどうやって選ぶのか、その現状と課題を考えてみよう。

(画像:イメージ)
(画像:イメージ)
この記事の画像(3枚)

まずアメリカのように、層が厚く充実したマイナーリーグがない日本では、コミッショナーが独自に指導者を育成する教育制度を作るべきだが、それもない。また、そういう意欲的で熱心なコミッショナーをオーナー会議は歓迎しない。ではどうするか。