昨今、続いている「お城ブーム」。
日本の城のほとんどは、程度の差こそあれ、かなり破壊されているが、戦後各地の城に天守などが続々と再建された。
しかし、観光誘致を優先するなどした結果、史実とは異なる姿を見せているものも少なくないという。
歴史評論家の香原斗志さんの著書『お城の値打ち』(新潮新書)から近年、より史実に近い姿に近づけようとしている各地の城について一部抜粋・再編集して紹介する。
赤瓦に葺き替えた会津若松城
昭和30年代ごろから各地に鉄筋コンクリート造で再建された天守も、このところ、より史実に近い意匠に近づけようという努力が見られるのは、歓迎すべき状況である。
現在、建てられてから60年以上が経過し、鉄筋コンクリート造の耐用年数を迎えている建築も少なくない。それを機に、名古屋城のように、木造での再建が検討されている例もいくつかある。
一方、鉄筋コンクリート造のまま、耐震性能を強化するなどしてリニューアルする場合もあるが、その際には多かれ少なかれ、より歴史的なオリジナルに近づける工夫がなされることが多い。

昭和40年(1965)に外観復元された会津若松城天守の場合は、耐震補強が目的だったわけではないが、平成23年(2011)に大きな改修が行われた。
再建時に使われた黒瓦、すなわち一般的ないぶし瓦を、すべて赤瓦に葺き替えたのである。