秋の味覚を代表する「サンマ」が豊漁となっている中、山陰地方でも市場や鮮魚店に続々と入荷している。
近年は不漁を受けて、大きなサイズの入荷が少なかったものの、2025年は久しぶりに大型のサンマが手頃な価格で販売されている。
一方で、購入したサンマを調理する際に気をつけたい「寄生虫」について、専門家が注意を呼びかけている。

連日の豊漁 大型サンマも価格が手頃に
松江市内の鮮魚店「伊勢宮 魚清」では9月26日、北海道・根室産のサンマ約30キロを入荷。
連日の豊漁を受けて、例年に比べて多く仕入れ、35センチほどの大ぶりなサンマも入荷したという。

魚清の三浦淳代表は「このサイズが入ってくるのは、5~6年ぶりくらいじゃないか。例年に比べたら安いと思います」と話す。
販売価格は小さめのサイズで一尾200円、近年入荷できなかった約35センチの大物で700円と、例年より安く設定されている。
「今年は入ってくる量も多い」と三浦代表は笑顔を見せる。
脂の乗りもよく、売れ行きは好調だという。

サンマに潜む「寄生虫」に注意
豊漁で喜ばしい一方、気をつけたいのが寄生虫の存在だ。
「近年、本当に多いですから、もういるものだと思ってほしい」と三浦代表。
サンマには、主に「アニサキス」と「ラジノリンクス」という2種類の寄生虫が見られることがあるという。

特にアニサキスは人間の体内に入ると腹痛や吐き気を引き起こすため注意が必要だ。
アニサキスは魚の筋肉や内臓に寄生する白色の細長い糸状の虫で、60℃の加熱で1分、70℃以上の加熱なら瞬時に死滅するとされている。
「目に見えにくい部分もありますので、やっぱり一番安心・安全は火を通していただく、加熱していただく。これが一番になるでしょうね」と三浦代表は強調する。
サンマ特有の寄生虫「赤い糸」と「黒い紐」

サンマには「赤い糸」のような寄生虫も存在する。
正式名称は「ラジノリンクス」で、主にサンマの内臓に生息している。
焼いても色が変わらず赤く目立つことから、見たことがある人も多いかもしれない。
ヒトに寄生することはなく、人体に影響はないということだが、甲殻類のため甲殻アレルギーの人は注意が必要だ。
また「サンマヒジキムシ」という黒い紐状の寄生虫が、魚の体表に付着していることもある。
魚食普及推進センターの資料によると、これらの寄生虫は基本的に人体には害がなく、しっかりと焼けば、食べても差し支えないという。
「火を通せば大丈夫」 秋の味覚を安全に楽しんで

三浦代表は「火を通せば大丈夫です」と話すほか、「せっかくいいサンマが入ってますので、皆さんしっかりと食べてください。豊漁が続くことを期待しています」と、寄生虫の心配よりもサンマの美味しさを楽しんでほしいと呼びかけている。
数年ぶりの豊漁となったサンマ。しばらくは秋の味覚を気軽に楽しめそうだ。
その際は、購入後はなるべく早く調理し、必ず十分に加熱するよう心がけたい。
(TSKさんいん中央テレビ)