10月27日に行われた衆院選で、議席を減らした日本維新の会。
党内から執行部の責任を問う声が、次々と上がる内紛状態となっているが、ついに馬場代表が大きな決断をした。
■衆院選での「惨敗」 代表選挙の実施へ
この記事の画像(10枚)日本維新の会 柳瀬総務会長:代表選を実施するということになりました。
6日、代表選挙の実施を決めた「日本維新の会」。
その理由は、衆院選での「惨敗」。
「野党第1党」を目標に掲げて臨んだ、10月27日の衆議院選挙。
ふたを開けるとその結果は、目標とは程遠いものだった。
大阪の選挙区で全勝した一方、比例票が伸び悩み、全国でみると議席を6つも減らすことに。
背景にあったのは、最近になって強まっていた維新への「逆風」だ。
■旧文通費改革・兵庫県の斎藤知事めぐる問題など「執行部への不満は溜まってきている」
国会が“裏金問題”に揺れる中、政治資金規正法の改正をめぐり、維新は、自民党と合意したはずの「旧文通費改革」を実現出来ず迷走。
維新が推薦した兵庫県の斎藤知事をめぐる、問題の対応のまずさも追い打ちをかけた。
大阪維新の会 河崎大樹幹事長:維新への期待があった分、失望とか反発は大きくなった。
厳しい選挙戦を強いられることになった候補者からは、執行部への“不満”が噴出。
維新の候補者:維新がブレたという印象がついてしまった。内部の執行部への不満は溜まってきている。
維新の候補者:選挙後には代表選挙をして執行部を変えないといけない。
■元身内からも激しい批判「本来の維新とは似て非なる政党になった」
さらに選挙期間中には、元身内からも激しい批判を受ける。
党員資格停止中だったため、無所属で出馬予定だった足立康史前衆院議員。
しかし馬場代表ら執行部に、別の候補者を立てられ、やむなく政界を引退。
自民党の応援演説を引き受けるなど、維新との関係はこじれにこじれた。
足立康史前衆院議員:馬場さんが代表になってから、(本来の)維新とは似て非なる政党になってしまった。もう維新の会は、早く終わらせてあげた方がいいんです。
■馬場代表「議席は増減するもの」 発言が火に油を注ぐ結果に
選挙では、大阪での牙城は守れたものの、結果は大変厳しいものだった。
こうした中、選挙直後の馬場代表の発言が、火に油を注ぐ。
日本維新の会 馬場伸幸代表:議席というのは、増えたり減ったりします。与党の過半数割れが達成されれば、われわれもその一翼を担ったという自負は、持ってもいいんじゃないかなと。
危機感を持つ党関係者の感覚とかけ離れたトップの発言に、維新内部の怒りは頂点に。
日本維新の会 浅田均参院会長:今回の大惨敗の責任を取って、代表は辞意を表すべきだと思っています。
日本維新の会 猪瀬直樹参院幹事長:これからの半年後の参議院選や、もしかして衆議院選もあるかもしれないって、これ惨敗しますよ。その危機感が馬場代表だけにないんですね。『王様は裸』なんですよ。
そしてついに6日の夜…。
日本維新の会 馬場伸幸代表(Xより):私はこの代表選には、出馬しないことを決意いたしました。
馬場代表は代表選に出馬しないことを表明した。
■「選挙には負けたと言わざるを得ない」、「責任を取るのは当たり前」と馬場代表
代表選不出馬を表明した日本維新の会・馬場代表と、前大阪市長で日本維新の会の前代表でもあった松井一郎さんが「newsランナー」に生出演。
発言の真意や、今後の維新は何を目指すのかなど、気になることを聞いた。
6日夜遅くに、自身のXで代表選に出馬しないと表明したがなぜか。
日本維新の会 馬場伸幸代表:きのう、特別党員による代表選挙をやるか、やらないか。これが投開票されまして、夜8時過ぎだったと思いますが、その結果を見てです。
日本維新の会 馬場伸幸代表:もちろんこの選挙に対する責任は、私がすべてを負うべきであって、特別党員の皆さま方もそういう思いであるということが、はっきり分かりましたので、責任を取る意味で次の代表選挙は出馬をしないと決めたと。夜遅くでしたんで、Xでしか発信できませんでした。
確かに19の選挙区全て取り、大阪では強かったが、全国的に見ると、議席は減らした。比例票も300万票減ったという、選挙に負けた責任をとるということだろうか。
日本維新の会 馬場伸幸代表:そういうことですね。やっぱり選挙の結果は、勝ったか負けたかと言われれば、負けたと言わざるを得ませんから。その最高責任者である私が、責任を取ると言うのは当たり前のことだと思います。
松井さんは馬場さんの受け止めをどう感じるのだろうか。
前大阪市長 松井一郎さん:責任を取ることは、選挙の結果が出た瞬間から、もう頭の中にあったんでしょう。馬場さんの中に。
日本維新の会 馬場伸幸代表:まあそうです。
前大阪市長 松井一郎さん:僕も代表やって、選挙勝った時も、負けた時もありましたよ。その選挙のたびに、出た結果においての自分の責任というのは、もうずっとどこかで取ろうと。
辞任という選択肢もあるかと思うが?
前大阪市長 松井一郎さん:でもそれをやると、今度、特別国会の首班指名がありますから、誰がリーダーとして首班指名の名前を書くのかを決める。だから結果が出た瞬間に、馬場さんが辞めることを表明すると、特別国会の賛否、これを決める執行部がなくなってしまうわけです。
前大阪市長 松井一郎さん:代表が辞めるっていうのは、幹事長も政調会長も党執行部、全員辞任です。特別国会がある中で、方針を決めるまでは、やっぱり執行部で何を言われても、残らなきゃいけない。耐えなきゃいけない。そこはしょうがないと思います。
■「日本維新の会」結成から今回の選挙戦までの歩み
馬場代表が不出馬を表明したことで、維新は新たな展開を迎えることになるが、日本維新の会はこれまでさまざまな歴史があった。
2010年に「大阪維新の会」を橋下さんたちが結成した。
2012年に国政政党「日本維新の会」結成。この時の代表は橋下さん。
2015年維新の“一丁目一番地”「大阪都構想」の住民投票が否決された。これによって橋下さんは政界を引退。その後代表になったのが、松井さんだ。
松井代表の時にも、2度目の「大阪都構想」の住民投票を行なったが、否決となり、松井さんは政界を引退した。
その後継指名で名前が挙がったのが、馬場代表だ。
その後、統一地方選挙で全国的に躍進するなどあったが、今年6月、政治資金問題をめぐって迷走。
そして10月、衆議院選で議席を減らす厳しい結果となった。
■馬場代表の党運営の評価について「後継指名をしたのは当然の話」 自民との交渉については「われわれの未熟さ」と馬場代表
松井さんが実質、後継指名をした馬場代表という間柄ですが、馬場代表の党運営についてはどのような評価をするのか。
前大阪市長 松井一郎さん:実質というより、僕が代表の時に幹事長として支えてもらったし、共同代表もやっていただいた。その中で、僕がもう辞めるわけだから、党をこれから運営するにあたって、馬場さんが代表選に立候補してくれたわけです。僕の時に、共同代表一緒にやってもらってるんだから、『これはふさわしいよね』っていうのは、僕は当然の話だと思います。
前大阪市長 松井一郎さん:今回、やっぱり自民党っていうのは、なかなかしたたかなやり方をしますよ。そんな中で馬場さんは、“旧文通費”、僕はこれが国会議員のお金の感覚を狂わす元凶だと思っている。これを何とか獲得目標にするために、自民党の交渉のテーブルについた。
政治資金の問題で、「政策活動費10年後領収書公開」を言ったが、結局、はしごを外されたという形になった。この運営について馬場代表は「一言で言うと、われわれの交渉力の未熟さ」と話した。
松井さんがいたら、根回しがうまくできたのだろうか。
前大阪市長 松井一郎さん:僕がいてもできたかどうか、分かりません。でも交渉時点で、相手の全権を持って交渉に来た人を、信じ過ぎたよね。いつやるという期限を取られたんですよね。
批判があったり、辞任要求が出されたりしたが、厳しかったか。
日本維新の会 馬場伸幸代表:もう慣れてますから。ずっと2010年から、いばらの道を歩んできましたから。普通の平坦な道は、あんまり歩いたことないんで、大丈夫です。
その覚悟を持ってやっていたということだ。
これから馬場さんに代わって、新たな代表を選ぶことになる。
(関西テレビ「newsランナー」2024年11月7日放送)