生態系を脅かしながら“爆発的増殖”を続けている外来魚がいる。その現場は宮崎県都城市の大淀川水系。ここ数年、海外原産のある魚が爆発的に増えている。川の生態系を脅かすその魚とは…。現地で調査した。

外来魚の正体とは?

7月10日、都城淡水漁協の清水克己組合長に協力してもらい、都城市内の川を調査。すると、探し始めた直後、開始1分ほどで爆発的に増加している外来魚が見つかった。コウライオヤニラミだ。

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宮崎県都城市の川で見つかったコウライオヤニラミ。

朝鮮半島原産の肉食の淡水魚で、体長は最大で30センチほどだ。

なぜ、海外の魚が都城市に生息しているのか?

コウライオヤニラミの調査を行っている北九州市立自然史・歴史博物館の日比野友亮学芸員に話を聞くと「人為的に放流すること以外に、日本の川に入ってくることはありえませんので、放流されたものが自然下で繁殖して、今のように広がっていると考えている」との事だった。

見つかった場所の周辺で撮影を続けていると…。すぐに2匹目が見つかった。

清水組合長によると、これは今年ふ化したコウライオヤニラミだそうだ。産卵して数が増え、下流に行くにしたがって大きくなっている。

コウライオヤニラミの増加はいつから?

大淀川の支流・都城市の萩原川で、コウライオヤニラミが見つかったのは2017年。国内で確認されたのはこの時が初めてだが、その後の調査で驚くべき結果が…。

北九州市立自然史・歴史博物館 日比野友亮学芸員:
増えているという段階を超えている状況。爆発的に増殖している。

魚が水中に出した糞などのDNAから、生息域がどれだけ広がっているか調査したところ、2017年の初確認からわずか6年後…。都城市の大淀川水系の71%で、コウライオヤニラミのDNAが確認された。

また、コウライオヤニラミのDNA濃度が高いところほど、在来種のDNA濃度が低くなっていることも判明。コウライオヤニラミが短期間で生息域を拡大しながら、在来種を捕食している実態が浮き彫りとなった。

北九州市立自然史・歴史博物館の日比野友亮学芸員:
最終的にはコウライオヤニラミの口には入らないような大きな魚、遊泳力の高い魚を除いて、あまり魚の姿が見えなくなることは考えられます。

清水克己組合長は「昔からいる魚、例えばオオヨドシマドジョウ。これがいなくなるかもしれない」と危惧している。

生態系を脅かす外来魚

大淀川にのみ生息する絶滅危惧種オオヨドシマドジョウへの影響など豊かな生態系を脅かしているコウライオヤニラミ。都城淡水漁協では、8月、駆除活動を行う予定だ。

(テレビ宮崎)

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