食卓に欠かせない野菜。昨今の野菜の価格高騰もある中、買った食材はムダなく、そしてしっかりと栄養を摂れる使い方をしたい。
東京慈恵会医科大学附属病院の栄養部が監修した『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)は、ふだん捨てているような部位にも栄養があることや、栄養を高める調理法についてまとめている。
今が旬の「なす」の新常識を一部抜粋・再編集して紹介する。
ヘタごと調理&アク抜きは損!
栄養価が少ないと考えられていたなすですが、近年はさまざまな栄養効果が発見されています。
アントシアニンのナスニン、クロロゲン酸などのポリフェノールが含まれていて抗酸化性能が豊富なうえ、ヘタやガクにはがん予防効果が示唆されています。
ガクは口に残るのでそのまま食べるのは難しいですが、ヘタは切り落とさずにスープに入れたり、炒めたりして食べることが可能です。
ガクごと干して、きんぴらなどで食べる方法もあります。
この記事の画像(6枚)●ガクの切り落とし方
1)ヘタと果肉がつながっているところに、包丁でぐるっと切り込みを入れる
2)切り込みを入れた部分から下のガクを取り除き、残ったヘタごと調理を
なすを調理する際にアク抜きをしている人もいるでしょう。
なすのアクの正体は、ポリフェノールのクロロゲン酸。抗酸化作用のほか、糖分の吸収を抑えて脂肪の蓄積を防ぐとして、糖尿病をはじめとした生活習慣の予防効果も期待できる成分。
アク抜きをしてしまうとせっかくの栄養が抜けてしまうのです。
抗酸化力はブロッコリー並
ここからは、なすの部位ごとにどのような栄養があるのか紹介していきます。
●ヘタ
なすのヘタはイボを取る効果があるとして民間療法などで活用されていましたが、なんとヘタやガクに含まれる天然化合物が子宮頸がん予防のほか、幅広いがん予防に有効であることが、マウスを使った実験で発見されたのです。
●皮の抗酸化力は果肉の2~3倍
なすの皮にはアントシアニンの一種であるナスニンなどのポリフェノールが豊富に含まれているため、抗酸化力は果肉の2~3倍ほども高いと考えられます。なすの皮をむくと、抗酸化成分をほぼ捨てることになってしまいます。
●果肉の下部にGABAが豊富
スポンジ状の果肉は90%以上が水分。栄養成分は少なめですが、カリウムや食物繊維、ビタミンB群などがバランスよく含まれています。睡眠の質を高めるGABAは下部(果頂部)により豊富に含まれています。
●種子が多ければ多いほど抗酸化成分アップ
果肉の黒い点々は「食べても大丈夫?」と思うかもしれませんが、これはなすの種が熟して変色したもの。黒い点々が多いほど成熟度は高くなります。なすの種にはクロロゲン酸が非常に多く含まれています。なすは250度以下で調理をすればクロロゲン酸の含有量を増やすことができます。