冷蔵庫に常備しておきたい薬味の一つ、しょうが。今の時期も寒い季節も大活躍する。

しょうがは生で使いがちだが、「蒸す」ことでしょうがに含まれる成分の効果が高まるそうだ。

東京慈恵会医科大学附属病院の栄養部が監修した『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)は、丸ごと、そして栄養価をアップさせて食べるコツを最新調理科学をもとに紹介している。

今回はしょうがについて一部抜粋・再編集して紹介する。

しょうがは「蒸す」のがおすすめ

しょうがに含まれる、血行を良くするジンゲロールは、加熱するとショウガオールに変化します。

体を温める効果が高まり、代謝アップ、殺菌、抗酸化など様々な効果が期待できる成分で、加熱方法によっては3倍の量に増加します。

そのジンゲロールは、ぴりっとした辛味で血行を良くしますが、加熱や乾燥することで抗酸化成分のショウガオールに変身します。

ショウガオールは体の深部から温めるため、免疫力・抗酸化力を高めると同時に代謝もアップしてくれるほか、抗がん作用も期待できます。

しょうがは「蒸す」のがおすすめ(『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』より)
しょうがは「蒸す」のがおすすめ(『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』より)
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調理法としてはじっくり加熱がポイントで、おすすめは「蒸し」。

しょうがのジンゲロールは、ゆっくりと加熱することで水分が抜けて抗酸化成分のショウガオールに変化していきます。

短時間の加熱よりもじっくりと加熱する調理のほうが、ショウガオールへの変換率は高くなります。

皮をむいたらもったいない

●7割の栄養は皮に集中
しょうがのポリフェノールであるジンゲロールは皮や皮のすぐ下にその多くが含まれます。

皮をむくとしょうがの独自成分の多くを捨てることになってしまうので、皮ごと使うことを基本にしましょう。

●香り成分は切ることで生まれる
しょうが独自の香り成分には、ジンゲロールのほかに発汗を促進するシオネールがあります。

この成分は切ることで発生するため、風邪のひき始めなどには、すりおろしたしょうがを摂るのがおすすめ。

スペシャル蒸ししょうがの作り方(『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』より)
スペシャル蒸ししょうがの作り方(『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』より)

最後に、オススメの「蒸ししょうが」の作り方を紹介しましょう。

薄切りにしたしょうがを蒸し器などで60分間蒸したあと、さらに1日干して水分を抜くと抗酸化力を保ったまま、保存ができる「スペシャル蒸ししょうが」になります。

紅茶などの飲み物に入れるなどで、常備して日常的に摂取すると免疫力アップが期待できます。

『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)

監修者:
濱裕宣

東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長。日常生活で活かせる健康と栄養バランスをモットーに、患者の立場に立った食生活に向上指導にあたる

赤石定典
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部。栄養食事指導によって、病態改善・治療・治癒への貢献を目指す

東京慈恵会医科大学附属病院栄養部
東京慈恵会医科大学附属病院栄養部