九州新幹線長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方法について、国と佐賀県は2023年12月28日、約10カ月ぶりに協議を再開。しかし、議論は平行線で進展はなく、先行きは相変わらず不透明なままだ。

与党検討委の要請で“協議再開”

与党検討委・森山裕委員長の単独インタビュー
与党検討委・森山裕委員長の単独インタビュー
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九州新幹線長崎ルートの整備方針を議論する与党検討委員会の森山裕委員長は、2023年12月中旬、サガテレビの単独インタビューを受けている。
その中で森山委員長は佐賀県と国の協議が滞っている現状について、「全体の新幹線の計画に迷惑をかける時期にきている」と述べ、懸念を表明していた。

国と佐賀県が2023年中に協議を行うよう“議論の加速”を促した与党検討委員会の森山裕委員長。その意向に沿ったかたちで、与党検討委員会の要請を受けた国交省が佐賀県に打診し、約10か月ぶりに両者の協議が行われることになった。

国交省幹部に単独インタビュー

国交省の幹部に単独インタビュー
国交省の幹部に単独インタビュー

協議の再開で、新幹線長崎ルートをめぐる議論に進展はあるのか…。
サガテレビは、議論のポイントを取材するため、国と佐賀県の協議に先立ち国交省の幹部に単独インタビューを行った。

インタビューに応じたのは佐賀県との話し合いの窓口となる国交省の平嶋隆司鉄道局次長。

国土交通省・平嶋隆司 鉄道局次長:
やり取りをしっかりしながら一緒に案を作っていく過程の話。忌憚なく意見交換できれば、話ができればと思う

新幹線長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方法について佐賀県と国やJR九州では意見が大きく食い違っている。
国やJR九州が“ベスト”とするのは「佐賀駅ルート」。

一方、佐賀県の山口知事は、在来線の利便性低下や多額の費用負担を理由に反対していて、佐賀空港周辺を通る「南回りルート」の議論の余地を指摘している。

Q.どのような考えを伝えるのか?
国土交通省・平嶋隆司 鉄道局次長:
我々としては佐賀駅を通るアセスルートの意味を説明してきた。こういうものがしっかりまず伝わるよう説明を引き続きするのが大事だと思っている

Q、「南回りルート」の議論について
国土交通省・平嶋隆司 鉄道局次長:
どういったルートのイメージで言っているか承知していない。全体としてどういう考えを持っているのかを含めて聞こうとは思う。一回作った非常に高規格の施設が長い期間、経済にも人流にも大きな効果をもたらす。相互の理解を合わせながら進めることが大事

Q.今回の議論は進みそうか?
国土交通省・平嶋隆司 鉄道局次長:
一歩でも前に進められるような話ができれば。また、その糸口となるような話があればと思う

そして迎えた2023年12月28日。国交省の平嶋隆司鉄道局次長が佐賀県庁を訪れ、約10カ月ぶりに県と国の協議が再開された。

佐賀県と国交省の協議が再開 2023年12月28日
佐賀県と国交省の協議が再開 2023年12月28日

協議は非公開で約1時間15分行われ、空港周辺を通る「南回りルート」など国が新たな展望を示すかどうか注目された。

佐賀県と国の協議に進展は…

そして協議の終了後、国と県がそれぞれ会見を開いた。膠着状態が続いていた議論に進展はあったのか、報道陣の注目を浴びながら両者が述べた言葉は…

 国交省・平嶋隆司鉄道局次長の会見
 
国交省・平嶋隆司鉄道局次長の会見

国土交通省・平嶋隆司 鉄道局次長:
佐賀駅を通るメリットは非常にあると思っていて、重ねて説明した

国は、「佐賀駅ルート」を推す“従来の主張”を説明。また、佐賀県が議論の余地を指摘している「南回りルート」については、まちづくりの計画など具体的な提案を佐賀県側に求めたと言う。

国土交通省・平嶋隆司 鉄道局次長:
佐賀県として、こういうところが、というのがあれば比較する材料として議論はできる。ただ少し“ぼわっ”としている形だと、なかなか作業できない

佐賀県 南里隆副知事の会見
佐賀県 南里隆副知事の会見

一方、佐賀県の南里隆副知事は”協議の成果”について次のように述べた。

佐賀県 南里隆副知事:
何かが動いたとか進捗があったという感じはない。今まで我々も申し上げてきたことを申し上げたし、国交省も基本的には今まで言われてきたことを言われた

また南里副知事は、「議論を深めるためには、まず長崎県と佐賀県による地元の合意が必要ではないか」と国側に伝えたと語った。

“平行線”で終わった協議

協議前日に会見した佐賀県・山口知事
協議前日に会見した佐賀県・山口知事

一方、佐賀県の山口知事は国交書との協議の前日、長崎ルートについて「1つの案を作るだけでも大変困難」との認識を示した上で、国との協議について次のように話した。

佐賀県 山口知事:
「できるだけフランクに思ったことを話す回にしたら」と(副知事と国交省に)言っているので、いろんな議論をされると思う。そういったことを踏まえて、その後の展開、新年の展開になる

約10カ月ぶりに佐賀県と国の協議が再開されたものの、進展は見られなかった新幹線長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」間の整備をめぐる議論。不透明な状況が続く中、今後の行方が注目される。

(サガテレビ)

サガテレビ
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