イラン情勢の悪化で原油価格が高騰するなか、福岡県内でも相次いだガソリンの”駆け込み給油”。燃料価格が一気に跳ね上がり、日常生活にも深刻な影響が広がりつつある。

一夜で価格が激変 一気に200円を突破

3月11日。福岡市内の『サービスステーション博多麦野店』(福岡市博多区)は、客の急増で在庫が少なくなり、急遽5円の値上げに踏み切った。

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給油に訪れた男性は「年金暮らしには辛い。もう歩かないかん」と恨めし気にメーターを見詰めていた。

店長の塚本英介さんは「今後、価格が上がるっていうところで、客の来店が増えて、在庫が少しなくなってしまったので、少し前倒しで一旦、価格を上げています」と苦渋の選択を口にする。

その後、県内のガソリンスタンドが一斉に大幅な値上げを実施。3月12日には「午前8時過ぎです。いま従業員が価格表示を変えているんですが、154円だったのが…、あ、180円に…」と福岡市中央区のガソリンスタンドで取材中の記者の目前で、従業員が価格表示を変更。

取材中の記者の目前で変更される価格(福岡市中央区 3月12日)
取材中の記者の目前で変更される価格(福岡市中央区 3月12日)

僅か数分の間にレギュラー価格が154円から180円と26円、値上げされた。

給油に来た人は「いま上がったとは知らなかった。ギリギリ間に合わなかった。もうしょうがない、残念ですけど」と半ば諦めの表情だった。

そして3月13日。なんと福岡・直方市のガソリンスタンドでレギュラー価格がついに大台の200円を突破。税込み価格は237円。

一夜で価格が激変するという驚きの事態となっている。

観光バス会社「もう辛抱するしかない…」

頭を抱えているのは県内の運送事業者だ。主にインバウンド向けの観光バスを運行している福岡・久山町の『昴交通』。大型から小型まで38台のバスを保有していて、多い月は5万リットルほどの軽油を使用する。

総括運行管理者の江頭謙造さんによると「軽油代はいまの単価で、月、500万円前後くらい。どんどん上がっていますので、ちょっと怖い」という。

軽油価格は、3月9日から約30円、上がっている。もうすでに軽油1リットル当たり166円に。「この業界、長いですけど、短期間でこの30円上がるというのは聞いたことない」とスタッフも驚きを隠せない。

スタッフも経験したことのない値上がり。江頭さんは「現在の月500万円から600、700…、まあ600万円は超えますよね。もう辛抱するしかない、企業努力で」と話す。

今後、経費の見直しも必要となるが、コロナ禍以降、慢性的な運転手不足が続いていて、人件費も削れないと話す江頭さん。最低賃金より遥かに高額な賃金を支払わないと運転手さんたちが集まらない」。

さらに「バス会社だけでなく運送関係、このままずっと燃料代が上がりっぱなしの状態だったら倒産する会社が増えてくるでしょうね。そこら辺を政府に考えてもらいたい」と続けた。

農園直撃!重油の高騰 月単位10~20万円アップ

一方、福岡・八女市の『平井観光農園』。現在『おまおう』や『紅ぽっぺ』など8種類が旬を迎えていて、イチゴ狩りを楽しむことができる。

いま深刻な問題となっているのが、ハウス内を温めるボイラーの燃料となる重油の高騰だ。農園には、全部で11棟のハウスがあり、月に2000リットルほどの重油を使用しているという。

観光農園の平井一之介さんは「重油価格が1.5倍くらいに上がってしまうので、10~20万円くらいは、月単位で上がることになりますね」と溜息を吐く。

ほかにもハウスを覆うシートや土を温めるカバー、出荷に使う容器など石油を使用しているさまざまなものが値上がりすると見ている。それでも入場料の値上げなど、価格転嫁は考えていないという。

「こういったご時世なので、できる限り頑張らせて頂きたい。二重張りを活用して、できるだけ熱を逃がさないようにするとか、温度を下げないような工夫、今後、努力をしていくということになる」(平井観光農園 平井一之介さん)。

原油価格は今後どうなっていくのか?先行きが不透明ななか、不安だけが広がっている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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