九州新幹線長崎ルート未整備区間「新鳥栖-武雄温泉」をめぐる県と国の議論が進展しない中、一石を投じる案が提示された。それは久留米から佐賀空港周辺、武雄温泉へとつなぐ”久留米分岐”論だ。

“久留米経由”で全線フル規格を

九州新幹線久留米分岐を提唱する集会・2024年2月11日
九州新幹線久留米分岐を提唱する集会・2024年2月11日
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福岡・久留米市で約100人が参加して開かれた集会(2024年2月11日)。九州新幹線長崎ルートの未整備区間について、JR久留米駅を経由し佐賀空港周辺を通るルートでの全線フル規格化を目指す久留米市の市民団体が開いたものだ。

未整備区間の議論は膠着状態

再開された県と国の協議は進展なし・2023年12月28日
再開された県と国の協議は進展なし・2023年12月28日

九州新幹線長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方法については、国と佐賀県が2023年12月28日、約10カ月ぶりに協議を再開。しかし、議論は平行線で進展はなく、先行きは相変わらず不透明なまま膠着状態が続いている。
佐賀県が佐賀空港と連携する“南回りルート”を「議論する価値がある」と主張する一方、国やJR九州は「“佐賀駅ルート”がベスト」との姿勢を貫いているためだ。

「九州全体のために議論を」

久留米分岐を提唱・久留米大学 大矢野栄次名誉教授
久留米分岐を提唱・久留米大学 大矢野栄次名誉教授

こうした中で開かれた集会では、久留米大学の大矢野栄次名誉教授が「九州全体のために新幹線構想はどうあるべきかを議論していく」と語り、次のように述べた。

久留米大学 大矢野栄次名誉教授:
これは勝ち・負けはない。九州全体のために、できれば日本全体のための新幹線構想、というものを持つべきですよという議論の1つが久留米分岐論と考えてもらえばいい

九州新幹線“久留米分岐”論とは

久留米から佐賀空港周辺、武雄温泉へ
久留米から佐賀空港周辺、武雄温泉へ

大矢野名誉教授が提唱する「久留米分岐論」とは、久留米から佐賀空港周辺、そして武雄温泉へと九州新幹線をフル規格で整備するというもの。
将来的には久留米から大分、さらには四国、名古屋まで延ばし、「物流新幹線」として活路を見出す構想だ。その上で、「議論し、みんなで結論を作ることで政治家も国会などで取り扱いやすくなる」と関心の高まりに期待を寄せた。
また、市民団体の代表も次のように述べた。

西九州新幹線久留米誘致プロジェクト 黒岩壽臣代表:
久留米だけが良くなるのではなく一緒に発展していくべきだと思っている

議論進展のきっかけに?

新幹線長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」間の整備をめぐる佐賀県と国の協議は昨年末、約10カ月ぶりに再開されたものの進展は見られなかった。
膠着状態が続く中、“久留米分岐”論が協議進展のきっかけになるのか注目される。

(サガテレビ)

サガテレビ
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