俳句の源流とされる「俳諧」にまつわる歴史的な建物「一夜庵」が香川・観音寺市にある。地元の人が500年近く守ってきたが、改修の資金が不足している。「一夜庵」を次の世代へ残すため、ある取り組みが行われた。

“俳諧の祖”ゆかりの建造物「一夜庵」とは

“上は立ち 中はひぐらし 下は夜まで 一夜泊りは 下々の下の客”

山崎宗鑑の一句
山崎宗鑑の一句
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これは、香川・観音寺市の興昌寺にある市の指定文化財、「一夜庵」を象徴する一句だ。

1番いいのは、すぐ帰る客。次は、日帰りの客。よくないのは、宿泊する客。深く読むと、宿泊する客はそれだけ親しいという解釈も…。戦国時代、俳句の源流の「俳諧」を生み出した山崎宗鑑が残した。

近江国、滋賀県で生まれ、歌道や書道に精通し、晩年は寺の僧侶を頼って「一夜庵」で暮らした宗鑑。客には一夜以上の宿泊を許さなかったとされ、残した句や庵の名前がその性格をよく伝えている。

宗鑑が暮らした「一夜庵」内部
宗鑑が暮らした「一夜庵」内部

地域の人は、戦国の芸術家をしのび、数寄屋造りの「一夜庵」を500年近く守ってきたが、今転機が訪れている。

人口減少で資金不足に…

一夜庵保存会・大西馨会長:
観音寺市にとっては、大切な観光文化施設。今回の改修は物価も高くなり、現在会員は300人、企業は15社くらいだが、前回の改修時は400人くらいだったので、支える側もだいぶ減っている

定期改修に必要な費用が1,300万円に膨らむ一方、人口減少により資金を出す地域の人が減っている。

地域の企業にも協力を求めているが、費用の一部の400万円は、クラウドファンディングで集めることになった。

「先輩の努力で保存してきたもの。私たちも努力して残したい」と話す大西会長
「先輩の努力で保存してきたもの。私たちも努力して残したい」と話す大西会長

一夜庵保存会・大西馨会長:
先輩の努力で保存してきたので、わたしたちも努力して、協力して改修し、次の世代に残したい

クラウドファンディングは、10月12日の午後11時まで受け付けている。

(岡山放送)

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