アメリカの有力紙・NYタイムズは1月6日、毎年恒例の特集「今年行くべき52カ所」を発表。日本からは長崎と沖縄が選ばれた。長崎で紹介された店などを巡る。
昭和レトロな純喫茶「珈琲冨士男」
長崎市鍛冶屋町にある「珈琲冨士男」は、戦後まもなくオープンした純喫茶だ。
浜町アーケードを抜けて寺町界わいへ向かう「鍛冶市通り」を進むと、たどり着く。
店内はレトロ調の照明が施され、ジャズが流れる。1946年(昭和21年)創業。創業者が「ふじお」さんだったことから店名がついた。
かつては市内に数店舗あったが、現在は1店舗のみ。昔はアーケード内にある「仲見世八番街」の店舗を訪れていた人も多いかもしれない。
長崎版「ミルクセーキ」は“食べる物”
記事の中では、「氷菓ドリンク“ミルクセーキ”をお試しください」と紹介されている。
牛乳、卵、砂糖を混ぜた「ミルクセーキ」は、一般には「飲み物」として認識されているが、長崎は違う。長崎でミルクセーキは「食べる物」だ。
氷を砕いてシャーベット状になっていて、ストローと一緒にスプーンがついてくる。スプーンですくって食べる。
NYタイムズ発表から数日後のランチタイムに店を訪れると、テーブル席は満席。寒い日にも関わらず、ランチタイムに4件のミルクセーキの注文があった。
「通常この時期は1週間の平日で1件ぐらいの注文なんですけどね」と、スタッフも驚いた様子だ。
ちょっと生きづらい“令和の時代”に癒される純喫茶
今回の記事について、オーナーの川村達正さんは「ドッキリじゃないのと思った」と、驚きを隠せなかったそうだ。
オーナーは2代目。先代が築いてきた昭和の純喫茶のたたずまいを受け継いで17年になる。
「令和の時代、ちょっと生きづらいなと感じる人も多いのではないか。そんな中で昭和に戻れる純喫茶はどこか懐かしさも感じられて、癒されるという客も多い」と話す。
「今の時代だからこそ選ばれたのではないか。この雰囲気を守りつないできて本当に良かった」と話す。
人気は「コーヒー」と「サンドイッチ」
店の人気は「コーヒー」と「サンドイッチ」。「ミックスサンド」はたまご、ハム、野菜から2つを選べる。マスタードの有無もカスタマイズが可能だ(通常が“あり”)。
この日は、人気という「たまご」と「ハム」をチョイス。たまごは厚焼き玉子で薄味。
ハムは薄切りきゅうりが緻密に並んでいて、きゅうりの食感も楽しめる。マヨネーズにちょっぴりマスタードがピリッとする味付けだ。(サンドイッチはテイクアウトOK)
モーニングは9:00~11:00。コーヒーまたは紅茶、トースト、ゆで玉子がセットになって750円。
「再興」賑わいを取り戻していける存在でありたい
「冨士男」をはじめ、今回、NYタイムズで紹介されたエリアは、原爆投下による直接的な被害を免れた地域だ。
マスターの川村さんは、ここで喫茶店を続けることに特別な思いを持っている。キーワードは「再興」だ。
「戦後、何もなかった時代に、喫茶店は人々を幸せな気持ちにさせたと思う。時代とともに昔ながらの店が衰退していく中で、当時の雰囲気を守りながら、街に賑わいを取り戻していけるような存在であり続けたい」と話している。
「失われるはずだった街が残った」長崎
52カ所の選定は、NYタイムズ旅行部門の編集者・記者など世界各地の文化、歴史、観光トレンドを専門的に扱うジャーナリストが行っている。
記事で長崎は17番目にあげられている。1945年の原爆投下で市中心部が壊滅を免れた点に触れ、「失われるはずだった街が残った」という歴史的背景が紹介されている。そのうえで、世界的に核拡散の脅威が再び意識される中、訪れる意義のある場所だと評価した。
九州新幹線西九州ルートが開業長崎駅周辺の再開発で利便性が向上。観光スポットだけでなく、長崎らしいグルメなども紹介され、歴史と現代が融合している点が「推し」ポイントともいえる。
具体的に名称が紹介されたのは次の通り。
・グラバー園
・原爆を生き延びた樹齢約樹齢800年のクスノキ
・福砂屋
・珈琲冨士男
・ジャズバー・マイルストーン
・梅ヶ枝焼餅「きく水」
今回選ばれた52カ所
- Revolutionary America(革命期のアメリカ)
- Warsaw(ワルシャワ)
- Bangkok(バンコク)
- Osa Peninsula, Costa Rica(オサ半島/コスタリカ)
- Bandhavgarh, India(バンダヴガル/インド)
- Dallas(ダラス)
- Oran, Algeria(オラン/アルジェリア)
- Route 66(ルート66)
- Saba, the Caribbean(サバ島/カリブ)
- Poblenou, Barcelona(ポブレノウ/バルセロナ)
- Nepal’s Other Mountains(ネパールのその他の山岳地帯)
- Bayreuth, Germany(バイロイト/ドイツ)
- Canadian Rockies by Train(カナディアンロッキー鉄道旅)
- Top End, Australia(トップエンド/オーストラリア)
- Penang, Malaysia(ペナン/マレーシア)
- Los Angeles(ロサンゼルス)
- Nagasaki, Japan(長崎)
- Breuil-Cervinia, Italy(ブレイユ=チェルビニア/イタリア)
- Memphis(メンフィス)
- Armenia(アルメニア)
- Sorolla’s Spain(ソローリャのスペイン)
- Winnie-the-Pooh’s England(くまのプーさんの故郷・イングランド)
- Seychelles(セーシェル)
- Inhotim, Brazil(インホチン/ブラジル)
- Iceland(アイスランド)
- Sanibel and Captiva Islands, Fla.(サニベル&キャプティバ島)
- Hyde Park, Chicago(ハイドパーク/シカゴ)
- Traena Islands, Norway(トレーナ諸島/ノルウェー)
- Miches, Dominican Republic(ミチェス/ドミニカ共和国)
- Portland, Ore.(ポートランド/オレゴン)
- Tien Shan Mountains, Kyrgyzstan(天山山脈/キルギス)
- Assisi, Italy(アッシジ/イタリア)
- Arctic National Wildlife Refuge(アラスカ国立野生生物保護区)
- Vietnam(ベトナム)
- Querétaro, Mexico(ケレタロ/メキシコ)
- Medora, N.D.(メドラ/ノースダコタ)
- Camiguin, the Philippines(カミギン島/フィリピン)
- Messinia, Greece(メッシニア/ギリシャ)
- Guyana(ガイアナ)
- Deer Valley, Utah(ディアバレー/ユタ)
- Yunnan, China(雲南/中国)
- Bentonville, Ark.(ベントンビル/アーカンソー)
- Cape Froward, Chile(ケープ・フロワード/チリ)
- Genoa, Italy(ジェノバ/イタリア)
- Dongseo Trail, South Korea(東西トレイル/韓国)
- Okinawa, Japan(沖縄)
- Río Pastaza Watershed, Ecuador(パスタザ川流域/エクアドル)
- Ngorongoro Conservation Area, Tanzania(ンゴロンゴロ自然保護区/タンザニア)
- Melbourne, Australia(メルボルン/オーストラリア)
- Virginia Beach(バージニアビーチ)
- Big Sur, Calif.(ビッグサー/カリフォルニア)
- Mon, Denmark(モン島/デンマーク)
(テレビ長崎)
