東名高速道路の静岡・焼津市を走る上りルートに、赤いイラストが描かれた看板がある。魚のイメージが強い焼津市でありながら、トマトのようにもカキのようにも見える謎のデザイン。看板の正体を調査した。
東名・焼津市の看板を現地確認へ
テレビ静岡のカメラマンから「東名高速道路の焼津市と島田市の間にある看板のイラストが何か分からない」という情報が寄せられた。
港町である焼津市であれば、カツオや魚のイラストではと思いつつ、実際に現地へ向かってみることにした。車に乗ったテレビ静岡・大森万梨乃アナウンサーが車窓から確認する。
東名高速道路の上り線、大井川を渡って焼津市に入ったところで「焼津市」と書かれた看板を発見した。
大井川焼津藤枝スマートICと吉田ICの間にある。
文字の上には、赤い楕円のイラストに星形の模様が描かれている。トマトなのか、それともカキなのか。どちらにしても焼津市のイメージとは結びつかない。
地域の特徴がわかる「カントリーサイン」とは
イラスト付きの看板は「カントリーサイン」と呼ばれるもので、1970年代後半に建てられたとされている。その土地の特産品や名所を入れて、現在地の確認と地域の特徴がわかるようになっている。
小山町ならクマにまたがった金太郎。袋井市はマスクメロン。静岡市は登呂遺跡。沼津市は富士山と駿河湾の波といったデザイン。どれも自治体を象徴するデザインが選ばれていて、しっくりくる。
でも焼津市のデザインは、いまいちしっくりこない。いったい何を描いたのだろうか。
あの絵の正体が判明
焼津市役所の担当者に問い合わせてみると、意外な答えが返ってきた。
焼津市・丸林愛梨さん:
場所的に旧大井川町の名残かもしれませんね。大井川町はトマトが名産でした

大井川の東側は、合併する前は大井川町だった。
看板のデザインは旧大井川町の名産・トマトだったのだ。さらに旧大井川町だけでなく、実は焼津市もトマトの栽培が盛んだという情報を得た。
トマトの宝庫「まんさいかん静浜」
詳しい話を聞くために、農産物直売所「JAおおいがわ まんさいかん静浜」へ向かった。
店内には野菜や果物がたくさん並んでいる。旬のハクサイは、ミニサイズから巨大なものまでそろい、ダイコンも立派だ。
そんな中でもトマトのコーナーは、名産というだけあって広く確保されていた。
まんさいかん静浜・池田昌行店長:
焼津市地区ではトマトが名産ですね。どうぞ食べていってください
試食させてもらうと、甘みがすごく弾け、とてもみずみずしい味わいだ。
ところで看板のトマトは、焼津ならではの品種なのだろうか。

静岡でトマトといえばアメーラトマトのイメージがある。しかし看板は1970年代後半にできたもの。アメーラトマトの普及より古い。
まんさいかん静浜・池田昌行店長:
アメーラトマトは約30年前にできたと聞いています。「志太トマト」という品種ならありました

「志太トマト」という初めて聞く名前が浮上した。
幻のブランド「志太トマト」の真実
志太トマトがどんなトマトか調べようと、まんさいかんで紹介してもらったトマト農家へ向かった。

焼津市利右衛門でトマト栽培をしている、大場弘之さんのハウスだ。
ハウスの中では、赤く色づいたトマトから、これから赤くなるトマトまで、たくさんのトマトが実っている。これが志太トマトなのだろうか。
トマト農家・大場弘之さん:
志太平野でとれていたトマトを総称して志太トマトと呼んでいました
志太トマトとは、旧大井川町(志太地区)で作られていたトマトの総称で、特定の品種ではなくブランド名だったのだ。

1993年にJAが合併したことで、志太トマト以外もまとめて出荷するようになり、名前が使われなくなってしまった。そして幻のブランド名となっていた。
志太トマトのブランド名は使われなくなったが、トマトの栽培はいまだに盛んだ。
トマト農家・大場さん:
トマトはハウスで作られるようになったので、2月から田植えくらいの5~6月までとることができます。すごく味が充実してるから、甘くておいしくなるようです

ハウスでの栽培が盛んになり、寒い時期でも育てられるようになったことで、冬に収穫してもうま味をぎゅっと詰め込めたトマトができるようになった。
東名高速道路の謎の看板を調べたら、幻のブランド「志太トマト」に行き着いた。看板を見かけたら、かつてここで愛されたブランドトマトがあったことを思い出してみてほしい。
■店名 JA大井川 まんさいかん静浜
■住所 静岡県焼津市宗高1-2
■営業時間 9:00~17:00
■定休 第2火※7・8月を除く
■問合せ 054-664-0831
■駐車場 普通車91台
(テレビ静岡)
