子供を中心に流行する夏風邪のうち、2023年は「ヘルパンギーナ」が特に増えていて、三重県では警報レベルを超えて感染が広がっている。

7年ぶりに“警報レベル”超える…三重で感染拡大

三重県津市にある「岩尾こどもクリニック」。6月23日は120人ほどの幼児らが、高熱や咳などを訴えて診察に訪れた。

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岩尾こどもクリニックの岩尾篤院長:
ほぼ夏風邪のお子さんです。感染症の方の9割くらいが夏風邪です

この時期、子供たちの間で流行する「夏風邪」。子ども“3大夏風邪”というと、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱、手足口病が挙げられる。中でも特に流行の兆しを見せているのがヘルパンギーナだ。

ドイツ語で水ほうの「ヘルペス」と、喉の炎症の「アンギーナ」が名前の由来のヘルパンギーナ。子供が感染すると、その名の通り、口の中に水ぶくれのような発疹ができて高熱が出る、ウイルス性の感染症だ。

岩尾篤院長:
ヘルパンギーナの患者さんは、全体の患者さんの1割くらいですかね。6月の先週・今週くらいがピークだったかな

飛沫などで感染し、乳幼児を中心に5月から7月にかけて流行する夏風邪の一種だが、三重県では2023年、その感染が拡大している。

三重県によると、ヘルパンギーナの患者の報告数は6月18日までの1週間に1医療機関あたり7.38人だった。前の週の1.6倍に増加し、警報レベルの目安とされる1医療機関あたり6人を7年ぶりに超えた。

さらに、この10年で最も流行した2015年など、例年と比べ早い時期から増えている。

岩尾篤院長:
喉の赤みがありますね、いわゆる夏風邪だね。まだヘルパンギーナっていうほど水泡はできてないけど、たぶん同じようなウイルスでこんな子も結構多いので

急増には“コロナ対策”も関係…免疫力の低下が要因か

この日は、訪れた約120人のうち10人ほどにヘルパンギーナが疑われる症状があった。急増の理由について、岩尾院長に聞いた。

岩尾篤院長:
この3年、コロナ禍の間は手洗いの慣行があって、便についているウイルスが入りますので、それを手洗いをしっかりしていたのでおそらく防げてたと思うんですけど。今まで3歳くらいの子って(ヘルパンギーナに)1回もかかってないんですよ。なので免疫力無いから、それで広がってるのはあるんじゃないですかね

新型コロナの5類移行に伴う感染対策の緩和と、これまでのコロナ対策でほかのウイルスにも感染しなかったことで免疫力が下がっていることが、ヘルパンギーナの感染が拡大している要因に挙げられるという。

飛沫接触でも感染…「とにかく手洗いを」

実際に夏風邪以外にも、例年この時期には見られないインフルエンザの患者も…。岩尾院長はコロナに限らず、改めて感染対策の徹底を呼びかけている。

岩尾篤院長:
コロナウイルスの弱毒化に伴って、他のウイルスも出るスペースが出てくるというか。飛沫接触で感染しますのと、おなかの中でウイルスが増えるので、オムツを替える時とかに必ず皆さんとにかく手洗いですね、手洗いの慣行が一番予防効果があるんじゃないですかね

ヘルパンギーナにはワクチンがなく、対処療法のみとなる。飛沫や接触が主な感染経路で、感染を防ぐための有効な対策はマスクや手洗いの徹底だ。

ウイルスは便に排出されるので、幼い子供のおむつ替えの際には注意が必要。おむつ交換後の手洗いは特にしっかりと。発熱中はウイルス量が多いので、特に気を付ける必要がある。

(東海テレビ)

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