9日に行われた日本インカレ女子10000mで、学生日本一のタイトルをつかんだ拓殖大学2年の不破聖衣来(19)。

5か月ぶりのトラックレースとなる中、「不安もたくさんあったんですけど、こういう大会がすごく久しぶりだったのでその場に立てている喜びをすごく感じました」と勝利に涙を浮かべた。 

復帰レースを鮮やかに飾った日本陸上界のニューヒロインが、世界と戦うためのカギについて明かした。

陸上長距離界のニューヒロインの素顔

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2021年4月に拓大女子陸上競技部に入部すると、1年生ながら10月の全日本大学女子駅伝でエース区間の5区を任され、区間新で6人をゴボウ抜き。

22年1月の全国女子駅伝では13人抜きの快走を見せ、これも区間新を出し、一躍、女子陸上界のスターへの階段を駆け登り始めた。

元陸上部のフジテレビ新人アナウンサー松﨑涼佳が挨拶をすると、とびきりの笑顔で対応してくれた不破。

大会での表情とは違い柔和な笑顔が印象的だ。 

「本当はピンクだったんですよ。でも一瞬で抜けちゃってこの色になってます(笑)」 

明るく染めた髪について話す不破は、イマドキの大学生と変わらない。 

記録ずくめの大学1年生ルーキー

そんな不破もひとたび走ればアスリートの顔に。

昨季、10月の全日本大学女子駅伝ではエース区間の5区を任され、6人をゴボウ抜き。12月の富士山女子駅伝でも5区で10人抜き。大学1年生のルーキーながら主要な駅伝大会で次々と区間新を連発し、さらに初挑戦となる10000m初挑戦でいきなり当時の日本歴代2位の30分45秒21をマーク。

衝撃的な走りを続ける不破に陸上界は沸いた。

ーー去年の活躍が本当にめざましかったと思うんですけど、今年の前半シーズンというのは?

今年は世界選手権で戦うということを目標にしていたので、その通過点である日本選手権に結局間に合わず欠場することになったんですけど、この先のことを考えて良い決断だと周りから言ってもらえたのでポジティブになれました。

けがの功名で見つけた「対世界」

冬の駅伝シーズン、驚異的な走りをみせてきた不破の脚はついに限界を超え、股関節痛、右アキレス腱周囲炎を発症、5月の日本選手権欠場を発表した。

一方でこの欠場が「けがの功名」ともいうべき、“新たな発見”にもつながったという。

それは目標としていた7月の世界選手権を、五十嵐利治監督と現地アメリカ・オレゴン州で観戦したことがきっかけだった。

ーーオレゴンで観戦して気持ちにどんな変化がありましたか?

ラスト1周からのスパート力は生で見てすごく感動しました。ラストスパートまでのタイムは充分対応することはできるんですけど、ラスト勝負の時に勝てるスピードではないので、目標としては(ラスト1周)60秒台を楽に出せるようになっていきたいです。
 

不破のタイムを世界選手権金メダリストと比較してみると、7000mまではほぼ互角。しかし終盤の残り3000m、さらにラスト1周のタイムには10秒もの開きがあった。

ラスト1周60秒台!世界に勝つスパート

この夏、世界の舞台を俯瞰で見たからこそ得られた収穫がラストスパートへの意識、そして強化だった。

帰国後、その収穫が早くも結果に結びついた。

9月9日に行われた日本インカレに、145日ぶりの復帰レースとして出場した不破は、他を圧倒する走りを見せる。

フィニッシュタイムは32分55秒31と、自己ベストより2分以上開きがある中、ラスト1周はベストタイムに近い72秒をマークし優勝。

けがを乗り越えてたどり着いた定位置に、「その場に立てている喜びをすごく感じました」と涙を見せた。

2年後のパリ五輪に向けて、不破が目指すのは60秒台の「スパート力」だという。

「世界の舞台を直接見られて、こういう選手がいるんだっていうイメージができたので、そこに近づけていけるように頑張っていきたいです」

再スタートした19歳の目は、早くも世界を見据えていた。

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