2020年に福岡県篠栗町で、当時5歳の男の子が餓死した事件の裁判員裁判。8月31日に引き続き、9月1日も、母親の証人尋問とママ友への被告人質問が行われた。

「食べられるのが当たり前と思うな」赤堀被告に毎日感謝の言葉を…

起訴状などによると、篠栗町の無職・赤堀恵美子被告(49)は2020年4月、生活全般を支配していた母親の碇利恵被告(40)に指示して、翔士郎ちゃん(当時5)に十分な食事を与えずに死なせたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われている。

争点はママ友だった赤堀被告による「支配」があったのかどうか。

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これまでの裁判で碇被告は「支配があった」と主張する一方、赤堀被告は「支配はなかった」などとし、双方の主張は食い違っている。

4回目を迎えた9月1日の公判。
8月31日に引き続き、支配されていたとされる母親の碇被告が検察側の証人として出廷し、赤堀被告の前で証言した。

【証人尋問(9月1日福岡地裁)】
検察側:
食事について、あなたがやっていたことは?

碇利恵 被告:
赤堀から「おまえたち家族4人は人に対する感謝が足りない。食べられるのが当たり前と思うな。感謝の気持ちを述べろ」と言われた

碇被告は、翔士郎ちゃんを含む子供3人と生活。食事は赤堀被告による「配給制」で、赤堀被告が調理したものやパンなどを受け取っていたとされている。
そして、毎日の食卓で行われていたのがー。

碇被告の長男(碇被告の証言より):
きょうは俺が言うね。〇〇君のお母さん(=赤堀被告)、きょうもご飯を作ってくれてありがとう。いただきます

日々、赤堀被告への感謝の言葉が述べられていたという。

“痩せすぎて”病院にも保育園にも連れていけず…指示あった?食い違う主張

そして一家への支配が強まるなか、徐々に食事の量も減らされ、朝と昼でパン1枚しか与えられなかったこともあった。

空腹に耐えかねた翔士郎ちゃんが、餓死する5カ月ほど前に、冷蔵庫にあった食べ物をつまみ食いしたのがわかり、赤堀被告が翔士郎ちゃんを叱りつけ、投げ飛ばしたという。

赤堀恵美子 被告(8月31日碇被告の証言より):
お前は何でそんなことしたんだ!お前は5歳じゃない!お前はもう飯食うな!これから3日間は食うな!

食べ物を与えられず、次第に痩せていったと見られる翔士郎ちゃん。
赤堀被告はさらに、外部との関わりを拒むように指示。それは、翔士郎ちゃんが亡くなる半年ほど前、空きがあった保育園への入園を断った時だったという。

【証人尋問(9月1日福岡地裁)】
検察側:
保育園のことがわかったとき、どうして断った?

碇利恵 被告:
赤堀から「そんな体で保育園行かせられると思ってるの?」と言われた。保育園を断りました

検察側:
どうしてだと思う?

碇利恵 被告:
痩せてる体で行かせられないから…

検察側:
心配してたってこと?

碇利恵 被告:
痩せた体をバレたくない気持ちだったと思います

赤堀被告によって、外部との関わりを絶たれたと主張する碇被告。誰にも相談できず、日々弱っていく我が子の様子を記していた。

“拷問すぎる 見ていられない” 母が残していた文章

【碇被告が記した文章】
“3月6日 きょうも罵倒された翔。ご飯抜き5日目。早くご飯食べたいよね”

【碇被告が記した文章】
“3月12日 翔、きょうから食べれたね。やせすぎて人相もかわってしまったやん。ごめんね”
“3月18日 拷問過ぎる。見ていられない。翔がかわいそうでたまらん”

この間も続いていたとされる、赤堀被告の支配。碇被告は、翔士郎ちゃんが痩せ細って行く様子を、赤堀被告が認識していたと主張する。

【証人尋問(9月1日福岡地裁)】
検察側:
赤堀被告も、翔士郎ちゃんが痩せているのをわかっていた?

碇利恵 被告:
わかっていたと思います。毎日のように赤堀は(家に)来ていたので、翔士郎を呼んで、「翔、裸を見せてん?」と言って、洋服を胸まで上げさせました。
赤堀は翔士郎のお腹を人差し指で触っていて、「ほら、お前が言うこと聞かんけん、こんなお腹がへこんどろうが。こうなったのはママのせいやけんね」と言っていました

そして4月上旬、翔士郎ちゃんの容体が急変。碇被告は赤堀被告にLINEし、病院に連れて行きたいと相談する。するとー

【赤堀被告から碇被告へのLINE】
“今病院連れて行ったらネグレクトと思われるよ”
“あんた分かってるんか、誰に迷惑かかるのか”

翔士郎ちゃんが亡くなる直前まで、碇被告を支配し続けたとされる赤堀被告。

翔士郎ちゃんが亡くなった時の体重は、平均の半分ほどの10.2kgだった。

一貫して「支配していない」と主張

1日、午後から被告人質問が開かれ、赤堀被告が証言台に立った。

【被告人質問(9月1日福岡地裁)】
弁護側:
碇家の普通ではない生活。心当たりは?

赤堀恵美子 被告:
心当たりはないです

弁護側:
碇被告から翔士郎ちゃんを保育園に入れないという話。指示をした?

赤堀恵美子 被告:
していないです

また、徐々に食事を減らしていったとされることについては…

【被告人質問(9月1日福岡地裁)】
弁護側:
渡す食事を減らしたり?

赤堀恵美子 被告:
言いました

弁護側:
理由は?

赤堀恵美子 被告:
コロナの時期だったし、私も子どもが3人いて生活がきつくなって、碇被告に料理を提供する余裕はなかったので言いました。「もらって当たり前」と言われたこともあって、私も「ん?」と思ったことがあったので、私も生活を切り詰めてまで食事を提供してやろうとは思えなくなった

赤堀被告は一貫して「支配はしていない」と主張した。

食い違う碇被告と、赤堀被告の証言。9月2日以降も裁判は続く。

(テレビ西日本)