福岡県篠栗町の5歳児が餓死した事件の裁判員裁判。証拠隠滅まで指示されたと支配の実態を証言した母親と、無罪を訴えるママ友の主張の食い違いが際立ってきている。

「ママごめんね」亡くなる数時間前、最後の言葉

9月2日、福岡地裁で行われた証人尋問。

検察側:
(亡くなる直前)なんて声をかけた?

碇被告:
しょー、丸まっていて、顔だけ私の方を向きました。その時に私の顔を見て「ママごめんね」と言いました

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8月31日から、続けて検察側の証人として出廷している母親の碇利恵被告(40)。亡くなる数時間前に交わした3男・翔士郎ちゃんとの最後の言葉について、肩を震わせ涙を流しながら証言した。

証言台に立つ碇被告を“ママ友”の赤堀恵美子被告(49)は、表情を変えることなく見つめていた。

赤堀被告は2020年4月、生活全般を支配していた母親の碇被告に指示して、翔士郎ちゃんに十分な食事を与えず餓死させた罪などに問われている。

裁判では、検察が主張するママ友による母親への「支配」があったかどうかが争点となっているが、赤堀被告は支配を否定し無罪を訴えている。

【9月1日 被告人質問】

弁護側:
翔士郎ちゃんが食事を抜かれていたことは知っていたか?

赤堀被告:
知っています

弁護側:
どうして碇被告はそんなことをした?

赤堀被告:
子供のしつけをちゃんとしないといけないと言っていたので

赤堀被告が支配を否定する一方で碇被告は「支配があった」と訴えていて、双方の主張は完全に食い違っている。

救急車を呼べなかった…息子の死に赤堀被告は

9月2日の第5回公判で、碇被告は死亡の当日、翔士郎ちゃんの容体が急変した際に救急車を呼ぶのではなく、赤堀被告に電話した理由を次のように証言した。

碇被告:
(通報は)できなかったです。していません

検察側:
どうして?

碇被告:
行動するには赤堀の許可がないといけない。勝手に行動できないと思っていました

赤堀被告の完全な支配下に置かれ、衰弱しきって生死の境をさまよう我が子を目の前にしても、自らの判断では何もできなかったと主張する碇被告。

翔士郎ちゃんの死後、赤堀被告に言われたことは…。

赤堀被告:
あんたは警察に捕まるけん。警察は大体、朝(家に)来るけん。朝起きたら「おはよう」と(LINEを)打って。「おはよう」がなくなったら捕まったと思うけん

「スマートフォンを処分しろ!」証拠隠滅も指示か

さらに赤堀被告は証拠の隠滅まで指示したという。

赤堀被告:
スマートフォンを処分しろ!証拠消せ!

検察側:
処分した?

碇被告:
トンカチで画面を割って赤堀の家に持って行きました

何の罪もない5歳の子供の命はなぜ失われてしまったのか。母親の碇被告は後悔の念を口にした。

碇被告:
私はやっぱりボスを恐れ、赤堀を恐れ、信じてしまって、翔士郎にどうしても食べさせてあげることができなかった。これは母親の私の責任だから、翔士郎に対しては本当に本当に謝っても謝りきれないですが、本当にごめんねと言う気持ちが一番にあります

碇被告の息子たち「母親の言ってることが真実」

そして、9月5日の第6回公判。支配を否定している赤堀被告は被告人質問で、翔士郎ちゃんが亡くなった当日の様子について「眠いから寝ているのかと思った」などと語り、緊急性を感じなかったと主張した。

さらに碇被告の元夫が出廷し、長男と次男からの伝言を読み上げ「母親の言ってることが真実」と訴えた。

碇被告の元夫(息子たちからの伝言):
被告人の言うことは全て嘘。指示していないと本人は言っているが、僕たちは指示されて、ろくに食事も与えられず、長い間苦しい思いをした。母親の言っていることが真実だから

支配関係の実態をめぐり、公判を重ねるごとに違いが際立つ双方の主張。「支配」はあったのか、なかったのか…。裁判は今後も続く。

(テレビ西日本)