国内で年間5万人以上が命を落としている大腸がん。日本で最も罹患者数の多いがんだ。中には、生まれつき発がんリスクの高い「遺伝性大腸がん」があることが分かっている。その特徴や留意すべき点を医師に聞いた。
遺伝性は若く転移した状態で発見の場合も
「大腸がんを発症する遺伝子が最近分かってきた」
こう話すのは福井大学の五井孝憲教授。「遺伝子異常がある大腸がんを遺伝性大腸がんというが、家族性の大腸がんもあり、血縁関係がある複数人が大腸がんにかかったとなると遺伝性の可能性が捨てきれない。家族性が30%、遺伝性が5%と、合わせて35%に遺伝が関わっているとされている」と説明する。
遺伝すると必ず大腸がんになるわけではないものの、最大70%の確率で発症するといわれている。
大腸がんは50歳以上での発症が多くなるが、遺伝性の場合は30代など若いうちに発症するのも特徴。若い世代は自分が病気にかかると思わない人が多いため、遺伝性の人は進行がんや、転移した状態で見つかることが多いという。
遺伝性の4つのサイン
家族に大腸がんの人がいる場合、遺伝性である可能性を示すサインがある。
▼50歳以下の若年で発症した
▼大腸の中に複数のがんができた
▼大腸に良性のポリープが100個以上ある
▼血縁者の中に3人以上、大腸がんにかかった人がいる
これらのサインのほか、内視鏡検査や細胞を調べる遺伝子検査で診断することができる
治療法は遺伝の種類によって異なるが、内視鏡でがん部分を切除する場合もあれば、予防的に全摘する場合もある。
大腸がんは初期症状がほとんどないため、定期的な検診が早期発見・早期治療につながる。
「一般的な大腸がんの健診は40歳くらいから始まるが、遺伝がある人は30代、場合によっては20代から健診を開始すると良い」(五井教授)
家族に大腸がんを経験した人が多いなど不安がある人は、早めに医療機関を受診し、定期的に検診を受けるようにしよう。
