8月29日、福岡地裁。長く続く傍聴整理券の列。

川崎健太記者:
午前9時前です。注目の“ママ友”赤堀被告の裁判、初公判の傍聴券を得ようと多くの人が裁判所に訪れています

開廷1時間前、初公判で用意された一般傍聴席24席に対し、10倍を超える263人の希望者が集まった。

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午前10時開廷。落ち着いた様子で法廷に入ってきた赤堀恵美被告は、紺の長袖、長ズボン姿で、白髪混じりの長い髪は後ろで束ねていた。

裁判長:
名前は?

赤堀被告:
赤堀恵美子です

紺の長袖・長ズボン姿、落ち着いた様子で法廷に入ってきた
紺の長袖・長ズボン姿、落ち着いた様子で法廷に入ってきた

裁判長:
いくつですか?

赤堀被告:
49歳です

保護責任者遺棄致死などの罪に問われている福岡県篠栗町の無職、赤堀恵美子被告(49)。

起訴状などによると、赤堀被告は2020年4月、実質的に生活全般を支配していたママ友の碇利恵被告(40)と共謀し、碇被告の三男で当時5歳だった翔士郎ちゃんに十分な食事を与えず、餓死させた罪に問われている。

赤堀被告はさらに「夫が浮気をしている」などと碇被告に様々な嘘を吹き込み、浮気の調査費などとして、合わせて約200万円をだまし取るなどした罪にも問われている。

「指示はしていません」 詐欺や窃盗についても否認

初公判の冒頭、赤堀被告は裁判長の問いかけに対してこう答えた。

裁判長:
まず、最初に翔士郎ちゃんが亡くなった保護責任者遺棄致死について聞きます。内容はわかっていますか?

赤堀被告:
はい

裁判長:
この内容について言いたいことはありますか?違っているところはありますか?

赤堀被告:
指示はしていません

保護責任者遺棄致死について問われ…
保護責任者遺棄致死について問われ…

裁判長:
詐欺や窃盗については、どうですか?

赤堀被告:
違います。お金をだまし取ったということはないし、窃盗の件も頼まれておろしてきたのでそこも違います

赤堀被告は、ボソボソとした小さな声で起訴内容を「完全否認」した。

これに対して検察側は、赤堀被告が元夫との裁判に勝つためと嘘をついて、碇被告が質素な生活を送るようルールを定め、ボスと呼ばれる第3者の存在を信じ込ませて、差し入れの食事のみで経済面を管理するようになったと指摘した。

その上で、検察側は「低栄養状態の翔士郎ちゃんを確認したにもかかわらず、食事の提供をやめ、何も食べたりしないよう『ボスが監視カメラで見張っている』と碇被告に伝えた」などと主張した。

碇被告の裁判では、赤堀被告による”支配”を認定

飢えに苦しみ、5歳で亡くなった翔士郎ちゃんの死亡時の体重は平均の半分ほどの10.2kg。

翔士郎ちゃんが餓死した事件をめぐっては、2022年6月7日に開かれた母親の碇被告の裁判で、赤堀被告によるマインドコントロールの実態が語られた。

弁護側:
子どもを守ろうと思えなかった?

碇被告:
逆らわないのが、子どもたちを守る方法だった

弁護側:
赤堀に逆らったらどうなる?

碇被告:
私が逆らったら子どもたちが怒られる。周りの人はみんな敵だと思ってた。母も姉も、出会う人出会う人、みんなスパイだと言われていた

赤堀被告の指示で、言いつけを守らなかった翔士郎ちゃんに2週間以上、食事を与えなかったこともあったと証言した碇被告。

一審判決で福岡地裁の冨田敦史裁判長は、赤堀被告による”支配”を認定し、「碇被告には数々の嘘によって生活全般を支配された被害者としての側面がある」などとして、懲役10年の求刑に対し懲役5年の判決を言い渡した。

「嫌われるのが怖くて仲良くしていた」

一方、赤堀被告の弁護側は初公判で「赤堀被告は碇被告に金を貸したことがあり、その返済として受け取っていたが、それ以外で受け取ったことはない」として詐欺の罪を完全に否定。

検察が冒頭陳述で取り上げたボスの存在や監視カメラについては「あくまでも碇被告が持ち出した話」だとして、検察が指摘した”支配”とは異なる構図を主張した。

弁護側:
赤堀被告は当時、碇被告が話す監視カメラなどの話が本当なのかよくわからなかったが、久し振りの友達で、嫌われるのが怖くて仲良くしていた

ママ友への支配はなかったとして無罪を主張した弁護側は、裁判員らに「今後、赤堀被告の話をよく聞いてほしい」と訴えかけた。

赤堀被告の父親「子を信用しとる」と無罪訴え

さらに、初公判を前に取材に応じた大分県在住の父親も「そんな子には育てていない」などと赤堀被告の無実を訴えた。

赤堀被告の父親:
別に娘が手かけて殺したわけではなし、年中一緒に住んどって「食わすな、食わすな」って言って殺しとるなら自分の罪になるが、そうではないから。うちの子があの人から金を取ったとか、何千万円か取って、どーのこーのしてと言うが、派手なことは全然なかった。人から金をだまして取るなら、もうちっと派手になるんじゃないか。どこ見てあんたら捜査しとんとかって。自分はそういう子には育ててない、子を信用しとる。それだけよ。どうのこうの、あなたたちにに話す必要もない

「生活の支配があった」と主張する検察に対し、「碇被告とは仲良く付き合っていただけ」と真向から否定する弁護側。

一体、何が真実なのか。今後は証人尋問や被告人質問が予定されている。

(テレビ西日本)