全国で「変わり種の自動販売機」が増えてきているが、北海道苫小牧市で"ある自販機"が登場し、注目を集めている。

独自製法で"おいしさ"保持 試行錯誤で「賞味期限1年」に

2022年5月、苫小牧市内の店舗に設置されたのは…北海道で初めて設置されたという「焼き芋」の自動販売機。

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缶に入っているのは、宮崎や鹿児島など九州産の紅はるかというサツマイモで約190グラム。1つ500円で、あたたかいものと冷たいものの2種類だ。
宮崎・日向市の企業が障害のある人たちの収入を増やそうと、サツマイモの生産・加工を障害者とともに始めたのが4年前。

一番苦労したのは、焼き芋の品質をどう保つかだったという。

「焼き芋缶」を手掛ける農福産業・松岡淳さん:
袋の研究などをして、賞味期限が1年保持できる袋にした。作り方も試行錯誤を重ねて、全国に販売している

焼き芋は、砂糖やはちみつなどを使わず低温で貯蔵する独自の方法。糖度が40度という出来栄えだ。

アイスクリームを添えて、デザート感覚でも…

「コロナ禍」が商売を変えた…"非接触"がヒントに

焼き芋の自販機は、全国に約60台ある。苫小牧市に登場した理由は?

味の大王・中江友紀さん:
昨今のコロナの情勢により、“非接触”がなじんできている。自動販売機がこれからの時代、必要と考え、取り入れた

この店は、もともとラーメンと餃子の店だったが、2022年3月に新型コロナの影響で店内での飲食を止め、餃子とラーメンの自販機を設置したところ、地元客や観光客が買いに来るようになった。

焼き芋の自販機で、さらなる集客に期待する。

味の大王 ・中江友紀さん:
ひとつの場所に集まって、いろいろな商品を楽しめる場が苫小牧にもできればいいなと考えた

ラーメンや牛タン、昆虫まで…自販機"専門店"も登場

札幌市白石区では2022年1月、自販機の専門店がオープンした。「自販機ランド」だ。

人気店のラーメンや牛タンに刺身、そして昆虫食などの自販機が並ぶ。

自販機ランド・氷室信康社長:
自販機で買えるからといって、スーパーやコンビニで買えるものを揃えても意味がない。北海道で扱っているのはここだけという商品を主に集めている

そんな店長の戦略はズバリと当たった。

客:
マグロとサーモンを買った。初めて通りかかって、「えっ、何だろうこれ」と思って入った。買う気はなかったが、晩ご飯のおかずになるので買った

社長は、開業した経緯をこう明かす。

自販機ランド・氷室信康社長:
人件費の削減が第一。今後、無人店舗は増えると思う

コロナ禍による“非接触”に、“人件費の節約”。変わり種の自販機は、ますます増えていきそうだ。

(北海道文化放送)

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