甘いトマトを生産して、ブランドとして売り込む。親子ほど年の離れた2人が協力する、新潟市北区の農業法人を取材した。
「スイカくらい甘い」トマト…26歳の社長が運営する農業法人
新潟市北区にある農業用ハウス。中では、真っ赤に実ったトマトの収穫体験が行われていた。
この記事の画像(23枚)そのトマトを一つ頬張れば…
お客さん:
すごく甘い。スイカくらい甘い
あま~いトマトは、農業法人「ベジ・アビオ」が生産する「とマとマとマと」。
そして、トマトの帽子をかぶり、トマトの甘さの秘密をお客さんに説明する女性の姿が。
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
トマトのマスコットキャラクター、「とまちゃん」です
とまちゃんこと山﨑珠樹さん(26)は、この農業法人の社長を務めている。
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
農業法人の運営や営業・企画をしている
トマトを専門に生産販売する「べジ・アビオ」。山﨑さんが社長に就任したのは2022年の2月。
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
私は農業の知識が詳しいわけではない
スマート農業も導入 甘い「とマとマとマと」の栽培方法
甘さが魅力のトマトは誰が生産しているのかというと…
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
こちらが生産部長の田中です
トマトの生産を担当しているのは、田中一幸さん(60)。
「トマトのおいしさにこだわっている」と話す田中さんに、甘いトマトの秘密を教えてもらった。
ベジ・アビオ 田中一幸さん:
水をコントロールしてトマトの実を濃縮させると、イチゴやスイカなどと同等の糖度になる
さらに生産担当の田中さんは、農業用ハウス内の温度や湿度などを24時間データ化して管理する、スマート農業にも取り組んでいる。
ベジ・アビオ 田中一幸さん:
人間の感覚も大事だが、環境を数値化しないと検証ができない
「とにかくアクティブ」な山崎さん…社長に就任したワケは?
おいしいトマトの生産に情熱を注ぐ田中さんだが…
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
実は田中さんが創業者で元社長
この会社は、田中さんがコシヒカリに頼らない新潟の農業を目指して2006年に設立。
ベジ・アビオ 田中一幸さん:
新潟で、おいしい付加価値があるトマトを生産しようと事業を始めた
現社長の山﨑さんが入社したのは2020年のこと。
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
初めてベジ・アビオのトマトを食べたときに、今までで一番おいしいと思った。それなのに売れなくて廃棄される状況を見て、それを私の力で打開したいと思って経営者を目指した
実家が鉄工所を経営する山﨑さんは、農業ではなく「経営者への憧れが強かった」と話す。
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
昔から生徒会長や部長などリーダーをやることが多くて、将来は経営者になりたいと思っていた
トマトの収穫体験や「とまちゃん」というアイデアを考えついた山﨑さん。その行動力を認めた田中さんが社長就任を勧めた。
ベジ・アビオ 田中一幸さん:
「社長やってみない?」ということで声をかけた。一番の理由は、とにかくアクティブ。私はどちらかというと研究肌。私が持っていない部分を彼女は強く持っている
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
全国には色々なトマトのライバルがいるけれど、その中で「とマとマとマと」を認めてもらって流通させたい
同じ目標を持つ2人 それぞれの得意分野生かして前へ
もっとトマトをおいしくしたい田中さんと、もっとトマトを売りたい山﨑さん。2人の歳の差は親子以上だ。
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
生産と経営を役割分担することで、どちらの精度も上げたい
もともと植物の研究が大好きな田中さんは、会社経営から離れることでトマトと対話する時間を増やし、その効果を実感している。
ベジ・アビオ 田中一幸さん:
もっと収穫量を増やして、もっと品質も良くできる感触がある
田中さんがトマトの味を向上させると、社長の山﨑さんも…
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
加工して作っているドライトマト
味は同じでも、変形したトマトを福祉施設と連携してドライトマトに加工。廃棄ロスを軽減している。
生産と販売。同じトマトで別々の見方をする田中さんと山﨑さんだが、2人は同じ未来を見つめている。
ベジ・アビオ 田中一幸さん:
若い人に農業をしてほしい
ベジ・アビオ 山﨑珠樹さん:
若い人に農業という働き方を伝えたい
小さくても甘味や栄養を凝縮したトマト。2人の「もっと」が重なって、夢が実る日もそう遠くないかもしれない。
(NST新潟総合テレビ)