新型コロナウイルスをきっかけに、新潟市の印刷会社が新たなビジネスとして飲食店をオープン。売り上げの柱として期待が集まる飲食店を取材した。
社長は雑用がメイン? ブランド豚で絶品豚汁
官公庁や学校関係のお便り本の製本をメインに行う、新潟市中央区の印刷会社「文久堂」。

2021年8月、新ビジネスとして豚汁専門店の経営を始めた。まさに“トン”でもなく違う新たな世界だ。

文久堂 早川幸司 社長:
社長だけど雑用がメイン。厨房に立ったりできない

テーブルを拭き皿を洗うこともあるという早川社長は、スタッフ2人を雇用して「ごちそう豚汁」を完成させた。

この豚汁、水分のほとんどは鍋を覆い尽くすほど入れるタマネギからとっている。

新潟県のブランド豚をたっぷりと使い、県産コシヒカリのごはんと合わせた定食は一番の人気メニュー。そのお味は?

杉山萌奈アナウンサー:
想像以上にタマネギの甘みが感じられます。豚肉のコクも出ていて、ほとんどダシを使っていないとは思えません
デジタル化などで売上げ落ち込むも…飲食店で生きた強み
総務省の家計調査で、新潟市は豚肉を購入する量が全国1位。また上越地域に豚汁の有名店があり、成功の事例があることから豚汁を選んだというが、印刷会社が異業種に参入した背景には、急速なデジタル化に伴う紙離れがあった。

文久堂 早川幸司 社長:
人件費をかけたり、機械の設備投資するのはすごくお金がかかる。印刷事業の中で売り上げを大幅に回復するのは非常に難しいと常々思っていた

創業以来、順調に売り上げを伸ばすも、2000年を過ぎてから売り上げが縮小。新型コロナウイルスの影響を受け、2021年はついにピーク時の1割程度まで減ったことが飲食店を始める決め手となった。

1台数億円する印刷機を新規で導入することは難しいが…。
杉山萌奈アナウンサー:
店作りに印刷会社のノウハウを生かしています。メニュー表やお盆の上に敷く敷紙、容器に貼るシールなどを自社で作り、コストダウンを図っているということです

文久堂 早川幸司 社長:
印刷費は何パーセントもコストカットできている。デザイナーを雇っているので、デザイン性のあるものを展開できる

コロナ禍に合わせた店作り成功 新たな挑戦は続く
ペンギンのよううに、てくてく商店街を歩いてほしい。そんな願いを込めて名付けた「古町ぺんぎん商店」。

印刷会社の強みを生かして、ペンギンがモチーフの店作りを行っている。さらに…。
文久堂 早川幸司 社長::
新型コロナ禍で廃業する店がある中、嫌な言い方だけど、空き店舗がいいところに出たり。店舗を作り上げるのに、コロナ前提の作り方ができたのが大きい
商店街の1階路面店という好条件の立地でも、築90年を超えるため家賃は格安。

開店当初からテイクアウト対策も実施し、コロナ禍で落ち込んだ印刷会社の売り上げ分を豚汁専門店で補填できているという。

お客さん:
外だとなかなか豚汁を食べられる所がない。2回目だけど、ありがたく利用している
お客さん:
家で作る豚汁とは違う感じがしておいしい
そして、早くも印刷会社の強みを生かした次の一手も。

文久堂 早川幸司 社長:
ペンギングッズを作って今後販売していく。ぺんぎん商店のおかげで文久堂の知名度が上がって、印刷の新しい売り上げにもつながるのではないかと考えている

ペンギンと豚汁が突破口となるのか?印刷会社のユニークな取り組みはこれらからも続く。
(NST新潟総合テレビ)