ロシアのウクライナ侵攻で日本の安全保障への懸念が高まる中、政府の国家安全保障戦略など防衛3文書改定に向け、自民党安全保障調査会が提言案を取りまとめた。

BSフジLIVE「プライムニュース」では、取りまとめに携わった自民党安全保障調査会の小野寺会長、日米安保廃棄・自衛隊は違憲と主張する共産党の小池書記局長を迎え、日本の安全保障政策について徹底議論した。

小野寺氏「あくまで専守防衛における反撃能力」小池氏「先制攻撃になる」

この記事の画像(13枚)

新美有加キャスター:
政府の防衛3文書改定に向けた自民党の提言について。まずはミサイル防衛についての提言。従来の「敵基地攻撃能力」の呼び方を「反撃能力」に変え、攻撃対象に指揮統制機能なども含むとした狙いは。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
敵基地攻撃という言葉がひとり歩きして、先制攻撃するようなイメージでとられており、正確を期すため反撃能力という言葉にした。日本を攻撃してくる対象を食いとめるためだから、攻撃対象には指揮統制機能も含む。現代、直接攻撃では相手の領土から弾道ミサイルが飛んでくる。今まで行わないと言ってきた相手の領土への攻撃も可能にしなければ守れない。現実に合わせて提言した。

小池晃 日本共産党書記局長:
実際には、相手が撃つ前にやろうという話なんでしょう。反撃ではなく先制攻撃になりかねない。相手が発射に着手したと認定すれば攻撃可能だと言うが、見極めは非常に困難。報道によると、専守防衛の考え方を維持するという内容が、実際の提言では削除されたと聞く。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
削除していない。間違ったことを言わないでください。専守防衛というと、相手より小さな兵器で戦わなければならないようなイメージを持つ方がいるので、そうではなく国際情勢や科学技術の進歩に対応することを明確化した。

反町理キャスター:
まず第一撃を受けてしまってからの「反撃能力」と聞こえてしまうが。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
「日本が武力攻撃を受けたこと」をどの時点で判断するか。相手が日本を攻撃するという明確な意図があり、具体的に着手した事実があり、日本が明々白々攻撃される状況がわかった段階で、仮に攻撃を受けていなくても受けたと判断する。

小池晃 日本共産党書記局長:
システマチックにできるかのようにおっしゃるが、一歩間違えたら先制攻撃。対象が指揮統制機能に拡大されたことは、周辺国に対して大きな脅威になり得るものだということは認めますよね。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
どの国も、自国が攻撃されたときには反撃する自衛権を持っている。私たちは、日本が攻撃されて日本人が大きな被害を受けることを防ぐために最大限の努力をするという議論をしている。

小池氏「防衛費を増やすことはありえない」小野寺氏「現状でも足りていない」

新美有加キャスター:
防衛費についての提言では、NATO(北大西洋条約機構)諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、5年以内に必要な予算水準の達成を目指す。この理由は。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
ロシア、北朝鮮、中国と、核保有国であり、力による現状変更をするかもしれない国に囲まれる日本のような地域はそうそうない。現在の1人あたりの防衛予算は韓国の3分の1以下。部品や整備、さらに自衛隊員の数が十分でなく、自衛隊の航空機や船や戦車等の稼働率が下がっている。今の予算ではとても足りない。またG7の一員、自由主義の国としても努力をする必要がある。

小池晃 日本共産党書記局長

小池晃 日本共産党書記局長:
憲法9条を持つ国としてはあり得ない話。その財源をどうつくるのか。社会保障を削減するのか、消費税を増税するのか。食料自給率もエネルギー自給率も低い。国を守るなら、真っ先にお金を使うべきはそこではないか。2%ありきの議論になっている。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
そうではない。必要な装備を積み上げる中で、NATO含め自由主義各国の防衛予算を念頭に整理している。

小野寺氏「被侵略国や同盟国に必要な防衛装備移転を」小池氏「紛争の助長だ」

新美有加キャスター:
防衛装備の移転について。侵略を受けた国に対し、幅広い分野の装備の移転を可能とする制度の在り方を検討するとしている。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
例えば、今回のウクライナへの支援で、防弾チョッキが実は武器にあたるということで、要綱を変えて出せるようにした。今まで防衛装備の移転に関しては相当限定的な考え方だったので、必要な支援ができるように考えておくことが必要。

小池晃 日本共産党書記局長:
防衛装備移転三原則は紛争を助長しないための原則。侵略したわけではないが、ウクライナは誰がどう見ても紛争当事国。なし崩し的と言われても仕方ないやり方で、武器の輸出を完全に解禁してしまうことはあり得ない。戦後日本が掲げてきた、国際紛争を助長しないという憲法の基本的な理念に基づく原則を、かなり根本的にひっくり返すということになるのでは。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
日本の装備移転の原則は、平和貢献、国際協力、そして日本の安全保障に資すること。準同盟国に近い関係のオーストラリアへの潜水艦移転が進まなかった例もある。日本の安全保障に関わる国に関しては、必要ならば売っていく議論をしなければ。

小池晃 日本共産党書記局長:
殺傷能力を持つものも対象になり得ると。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
日本を守るために必要であれば、潜水艦には魚雷も積む。殺傷能力という言葉でレッテルを貼り、切り捨てようとされているが、防衛装備とはそういうもの。

反町理キャスター:
紛争当事国への移転を禁じるという点の法改正も念頭に? 

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
例えば、今回のウクライナのように侵略を受けた国は、紛争当事国という判断になるのか。一方的に侵略を受け無辜の住民が悲惨な状況にあるときに、紛争当事国だからと日本は何もしないのか、ということ。当然、自由に移転できるという話ではなく、閣議決定をしながらこの装備はどうなのかということを十分議論していく。

小野寺氏「ロシアは現実的な脅威」小池氏「対ロシア外交の失敗を認めよ」

新美有加キャスター:
提言のうち、周辺国の脅威認識について。中国は「重大な脅威」、ロシアは「現実的な脅威」、北朝鮮は「より重大かつ差し迫った脅威」。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
中国は尖閣の事案が深刻化し、南シナ海で力による現状変更が進んでいる。軍事力を伸ばしており、安全保障上の強い懸念に「なりつつある」という表現。ロシアは、ウクライナの状況を見れば現実的な脅威となっている。日本は経済制裁をしており、今後ロシア軍は北方領土に関しても対応をとってくる。北朝鮮は今回、ICBM(大陸間弾道ミサイル)というかなりの力を持ったので、「より」とつけた。

小池晃 日本共産党書記局長:
中国、北朝鮮、ロシアも脅威だが、では今まで何と言ってきたか。同じ未来を見ていると言ってきた安倍・プーチンの関係での対ロシア外交の失敗は認めるべき。国際法上、日本が平和的に獲得したのは全ての千島。ところが4島、さらに2島まで譲歩した。これがプーチン大統領を増長させた。

小池氏「自衛隊は違憲だが今は必要」小野寺氏「共産党こそ違憲政党だ」

新美有加キャスター:
共産党の安全保障政策について。志位委員長が2020年の党の綱領改定を踏まえて出版した『新・綱領教室』の下巻によれば、自衛隊の解消について3段階で進めるとしている。まず安保法制の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回、軍縮に転じる。次に日米安保条約が廃棄され、米軍との従属的な関係の解消など。そして、国民の合意で憲法9条の完全実施、共産党のいう自衛隊の解消に取り組む。小野寺さんはどうお聞きに。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
一番喜ぶのは中国やロシア、北朝鮮も。日米の安全保障条約も自衛隊もなくなって、日本が丸腰になる。今のウクライナを見て、それで日本が平和な国として維持できると思えるか? 理解に苦しむ内容。

小池晃 日本共産党書記局長:
国民の圧倒的多数が合意しなければできない話。日米安保条約が必要だという意見が多数の今の世論の下ではできるわけがない。日本が攻撃される可能性が残っている段階では、国民は自衛隊をなくそうなんて思わない。そういう段階で自衛隊をなくすと考えていない。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
ずっと自衛隊は憲法違反の組織だと言っていながら、自衛隊が必要だから残すと。つまり共産党は、憲法違反を認める政党だと言った。憲法には国会議員の憲法擁護義務があるが、憲法を守ることすら否定した。共産党は護憲政党ではなく違憲政党じゃないですか。

小池晃 日本共産党書記局長:
全く違う。憲法9条の条文に照らせば、自衛隊を持っていることは憲法違反に間違いない。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相(左)、小池晃 日本共産党書記局長(右)

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
その憲法違反の自衛隊をいざという時に使うと言っている。「自衛隊は憲法違反だから、いざというときにも私たちはあてにしません」と言うならまだわかる。だが、大変なときだけ自衛隊を活用すると。ご都合主義だ。

小池晃 日本共産党書記局長:
そんなことはない。我々の立場は一貫していて、憲法9条を守ることと国民の命を守ることの両立を考えれば、憲法に基づく段階的な解消という措置をとるということ。

小野寺五典 自民党安全保障調査会長 元防衛相:
だったら、自衛隊を合憲だと認めていただきたい。

小池晃 日本共産党書記局長:
認められるわけがない。

BSフジLIVE「プライムニュース」4月26日放送

BSフジLIVE プライムニュース
BSフジLIVE プライムニュース
外交・安保 政策・政治 事件・裁判
記事 141